2006 Fiscal Year Annual Research Report
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18790117
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
樋口 ゆり子 京都大学, 薬学研究科, 産学官連携研究員 (40402797)
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Keywords | 核酸医薬品 / 遺伝子治療 / 炎症性疾患 / NFκB / リポソーム / ターゲティング / デコイ / 転写調節 |
Research Abstract |
本研究は、核酸医薬品NFκBデコイの細胞選択的送達による新規抗炎症治療法の確立を目的とする。 NFκBデコイは活性化NFκBと結合することによりNFκBの転写を抑制し、炎症性サイトカインなどの炎症関連分子の発現を抑制することが知られている。しかしながら血中へ投与後の酵素分解や速やかな代謝により、標的分子へのとりこみが極めて低く、治療効果を得るためにはキャリアの開発が必要である。そこで本年度は、NFκBデコイの肝臓の炎症治療への応用を目的に肝非実質細胞選択的にNFκBデコイを送達できるキャリアを調製し、NFκBデコイ/リボソーム複合体の物理化学的性質、体内動態、細胞内分布など治療効果を得るために必要な基礎的検討を中心にデリバリーシステムの構築をおこなった。まず、サイトカイン産生細胞であるKupffer細胞に高発現するフコースレセプターによる認識取り込みを利用したフコース修飾カチオン性リボソームを調製した。リボソームとNFκBデコイの複合体の粒子径は約70nmであった。^<32>P標識NFκBを用いて静脈内投与後の複合体の体内動態を評価したところ、NFκB単独投与の場合と比較し、速やかで高い肝臓への集積が認められた。また肝臓内分布を評価したところ、Kupffer細胞の含まれる肝非実質細胞への高い集積が認められた。さらに、ローダミン修飾NFκBデコイを用いて肝切片を観察すると、Kupffer細胞が多く集積する類洞周辺への高い集積が認められた。以上、NFκBデコイによる炎症治療実現に向けたKupffer細胞へのin vivoデリバリーにおける製剤設計において重要な基礎的知見を得ることができた。
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