2006 Fiscal Year Annual Research Report
うつ病個別化治療に向けた新規候補分子ヒトTPH2の薬理遺伝学的分子基盤の確立
Project/Area Number |
18790119
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福田 剛史 大阪大学, 薬学研究科, 助手 (10423120)
|
Keywords | SSRI / TPH2 / polymorphism |
Research Abstract |
本研究は、脳内で優先的に発現しているセロトニン合成酵素であるトリプトファンヒドロキシラーゼ(TPH)のサブタイプTPH2に関する研究である。継続的に行っている抗うつ薬SSRIの臨床研究においてTPH2 gene内に存在する一塩基多型(SNP)がFluvoxamineの反応性に影響する可能性を見出した。今回、この因子が有力な薬効予測因子であることを反応者群と非反応者群の比較によるロジスティック回帰分析で確認した。また、既報の4ヶ所のcoding SNPsが、今回調べた100例のうつ病患者内に存在しないことも確認した。次に、このSNPがpromoter領域(-614部位)に存在するため、転写に与える影響を解析した。すなわち、-800部位までの領域を含むレポータプラスミドを作製し、神経由来細胞を用いてレポータージーンアッセイを行った。しかし、このSNPが転写活性に直接的に影響する結果は得られなかった。そこで、本SNPとリンクする多型を探索する目的で、当該SNPを保有している検体を用いて-2000から+3000までの周辺領域のdirect sequencingを行った。その結果、新規変異(intron1の3塩基の挿入欠失)を含む8ヶ所の変異を検出した。 一方、当該SNPの健常成人の頻度調査を実施した。健常成人とうつ病患者のSNP出現頻度に有意差は観察されなかった。このことは、当該SNPがうつ病罹患には影響しないことを示していると考えられる。
|