2006 Fiscal Year Annual Research Report
炎症細胞特異的な遺伝子送達を目指した遺伝子キャリア-の創製
Project/Area Number |
18790123
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
浅井 大輔 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (10423485)
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Keywords | IkappaB kinase / NF-kappaB / 遺伝子キャリアー / ドラッグデリバリー / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
IkappaB kinase基質ペプチドの合成およびアクリルアミド高分子の調製 IkappaBキナーゼ(IKKβ)がリン酸化するターゲット分子のリン酸化部位周辺の配列を参考にして、分子全体が正電荷となるように塩基性ペプチドを合計11種類設計し、N末端をメタクリロイル化した種々のペプチドをFmoc固相合成法により合成した。次いで、リコンビナントIKKβによるin vitroキナーゼアッセイによって効率よくリン酸化される基質をMALDI-TOF-MSを用いて選定した。その結果、10種についてIkappaBキナーゼの基質としての有効性を確認した。これら基質ペプチドをアクリルアミドとラジカル重合して、IKKβ基質ペプチド含有アクリルアミドポリマーを調製し、基質ペプチド含有率(mol%)およびカチオン濃度を元素分析により決定した。 in vitroでの機能評価 [γ-^<32>P]ATPを用いアクリルアミド高分子の被リン酸化能を調べた。その結果、調製した10種全ての高分子にIKKβによるリン酸化が確認された。次いで、調製した高分子がプラスミドDNAと複合体を形成するか、そしてIKKβによるリン酸化で複合体の崩壊が起こるかをアガロースゲル電気泳動で調べた。合成した11種の基質ペプチドおよびポリマーを評価したところ、IKKβにより効率よくリン酸化されてプラスミドDNAを放出するポリマー1種を見出した。 機能性キャリアー高分子の特性解析 調製した機能性キャリアー高分子とプラスミドDNAの複合体のポリアニオンに対する安定性を、代表的な遺伝子キャリアーであるポリ-L-リジン(PLL)と比較し、無細胞系発現システムにより調べた。その結果、PLL-プラスミドDNA複合体では過剰なポリアニオンの添加により完全に複合体の崩壊がおこるのに対して、調製した機能性キャリアー高分子-DNA複合体ではコントロールに対して40%の発現量に留まった。すなわち、調製した機能性キャリアー高分子-DNA複合体は過剰量のポリアニオンに対して比較的安定に存在できることを確認した。
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