2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18790127
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Research Institution | Josai International University |
Principal Investigator |
田嶋 公人 城西国際大学, 薬学部, 講師 (60406783)
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Keywords | TRPV1 / TRPA1 / TRPM8 / 結腸 / 胃粘膜上皮細胞 / 消化管運動 / 内臓知覚神経 / タイトジャンクション |
Research Abstract |
ストレスによる消化管の水分吸収・分泌のバランス崩壊は、消化管粘膜感知センサーとしてのホット受容体TRPV1やコールド受容体TRPM8,TRPA1の機能異常に基づくという仮説を立て、これを証明するために薬理学的研究を行った。本年度は実施計画に従い、正常動物の消化管および初代培養を用い、TRPV1、TRPM8、TRPA1の生体機能と分布について検討を行った。その研究成果の要点を以下の2点にまとめた。 1 消化管運動:マウス摘出下部消化管標本において、アリルイソチオシアネートでTRPA1を刺激した際に惹起する収縮・弛緩反応を検討した。その結果、TRPA1は消化管運動を充進する方向に作用しており、特に結腸において作用が大きかった。さらに、この反応は、神経伝導遮断薬テトロドトキシンの前処置やカプサイシン(TRPV1作動薬)により脱感作させた標本では消失することから、TRPA1はTRPV1発現神経上に存在し消化管運動を充進することが示唆された。 2 消化管上皮の細胞間結合能:ラット胃粘膜の細胞間結合能におけるTRPV1,TRPM8,TRPA1作動薬の影響について検討した。カプサイシンもしくはアリルイソチオシアネート(TRPA1作動薬)の低濃度の管腔側適用は細胞間結合を強める方向に作用したが、高濃度のアリルイソチオシアネートは細胞間結合能を著しく弱めた。一方、メントール(TRPM8作動薬)の管腔側適用では何ら影響は認められなかった。なお、RT-PCR解析によりTRPV1,TRPM8,TRPA1が胃粘膜細胞でも発現していることが認められた。 本年度の検討より、正常動物において消化管粘膜に存在するホット受容体およびコールド受容体は、運動機能充進や上皮細胞間の結合能に影響を及ぼすことが見出された。今後これらが消化管の水分吸収・分泌にどのような影響を及ぼすのか解析を継続する。
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Research Products
(3 results)