2006 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪酸代謝に関わるカルニチントランスポーターの活性調節機構の解明
Project/Area Number |
18790130
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
前田 智司 東京理科大学, 薬学部, 助手 (60303294)
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Keywords | カルニチン / カルニチントランスポーター / OCTN2 / β-酸化 / 脂肪酸代謝 / 核内受容体 / 肝臓 / 発現制御 |
Research Abstract |
カルニチンは長鎖脂肪酸のミトコンドリ内膜透過に働き、β-酸化に必須な物質である。カルニチンの体内動態はトランスポーターによって調節されており、トランスポーターの実体の1つは有機カルニチントランスポーターOCTN2である。OCTN2の機能欠損マウスであるjuvenile visceralSteatosis(jvs)マウスではカルニチン欠乏による心肥大、肝肥大、および雄性不妊などが生じる。したがって、jvsマウスで観察される疾患はOCTN2の発現が低下した場合も生じると推定される。そこで、本研究では、OCTN2の発現量に影響する因子の同定が必要であると考え、OCTN2の発現制御機構に関する研究を行った。 本研究では、まずラット肝臓初代培養細胞を用いて、ラットOCTN2の発現に影響する核内受容体の有無について、脂質代謝などに働く核内受容体のリガンド暴露により探索を行った。その結果、Peroxisome Proliferator Activated Recebtor(PPAR)αのガンドであるフェノフィブラートがラットOCTN2の発現を上昇させた。この結果を元にPPARα,のアンタゴニズトであるMK886を用いたOCTN2の発現変動、OCTN2のプロモーター解析、ゲルシフトアッセイおよびPPARαノックアウトマウスにおけるOCTN2の発現量の検討を行った。その結果、ラットOCTN2の発現は核内受容体の1つである.PPARαにより制御されていることが示された。.この結果はβ-酸化関運遺伝子であるCarnitinepalmitoyltransferase 1A等が同様にPPARαに制御されていることと一致し、PPARα活性化によりラット肝臓におけるラットOCTN2の発現上昇も脂肪酸代謝亢進の役割の一端を担っていると考えられる。 今後は、PPARα以外の脂肪酸代謝にかかわる核内受容体に着目し、QCTN2の発現制御機構の解明をさらに行うと共に、OCTN2以外のカルニチンを輸送するトランスポーターの発現制御についても検討を行う。
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