2007 Fiscal Year Annual Research Report
フェンタニルの鎮痛効果の日周リズムを考慮した投薬設計法の開発
Project/Area Number |
18790133
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
吉田 都 Fukuoka University, 薬学部, 助教 (20369028)
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Keywords | フェンタニル / 鎮痛効果 / 日周リズム / 癌性痺痛モデルマウス / μ-opioid receptor / VON FREY test |
Research Abstract |
ヒトを含めた生物の生体機能には神経活動をはじめホルモン、代謝酵素などの分泌や生合成の他、免疫機能や体温、排泄機能においても日周リズムを中心とする様々蔚周期的現象が認められる。このような生体機能の日周リズムに伴い、病態やその治療目的で使用される薬物の効果、体内動態は時間依存的に変化することが考えられる。気管支喘息や消化性潰瘍など疾患や病状の発生頻度に明確な日周リズムが存在する薬物の場合は投薬設定が比較的容易であり、時間治療が積極的に実践されている。一方、疾患や症状に顕著な日周リズムが確認できない疾患においても、治療効果や副作用が、薬物体内動態の日内変動、薬物の感受性に関与する生体内神経伝達物質やホルモンなどの濃度、受容体の数および親和性、細胞周期の日周リズム等の影響によって変化することが明らかとなってきた。ヒトおよびげっ歯類の疼痛閾値、内分泌系機能および神経系機能には日周リズムが認められることが報告されているが、疼痛の時間治療には至っていない。本研究では、癌性疼痛に用いるフェンタニルの作用部位における感受性と薬物濃度の時間依存的変化について検討した。前年度は癌性痺痛モデルマウスを作製し、鎮痛閾値測定法を確立した。本年度においては、癌性疼痛モデルマウスにおける疼痛閾値の日周リズムを測定したところ、鎮痛薬を投与しない群の疼痛閾値は、明期(休息期) 後半に低値を、暗潮(活動期) 後半に高値を示す有意な日周リズムが認められた。フェンタニル投薬群の鎮痛閾値も明期(休息期) 後半に低値を、暗潮(活動期)後半に高値を示す有意な日周リズムが認められた。フェンタニルの作用部位である脊髄のpioidreceptor発現量の日内変動について現在測定を行っている。また今後、脊髄中のフェンタニル濃度も現在測定中である。
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Research Products
(5 results)