2006 Fiscal Year Annual Research Report
アポトソーム選択的活性化化合物を用いた細胞死制御因子同定と癌治療
Project/Area Number |
18790134
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
馬島 哲夫 (財)癌研究会, 癌化学療法センター分子生物治療研究部, 研究員 (30311228)
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Keywords | 脂質代謝 / 分子標的治療 / アポトーシス / 癌 |
Research Abstract |
ヒト固形癌細胞株を用いた網羅的解析から、難治性のp53変異がんの多くで、アポトソーム系(Apaf-1/カスパーゼ9依存性細胞死誘導経路)は保持され、また正常細胞と比べ顕著な亢進を示すことを見出してきた。即ち、p53変異がんにおいて、p53変異を介さず直接下流のアポトソームを活性化する薬剤が選択的細胞死誘導のためのストラテジーとなりうる。さらに、in silico解析により、アポトソーム経路を直接的に活性化する候補化合物群を抽出した。癌細胞の持つアポトソーム活性に依存した細胞死を誘導する化合物をまず抽出し、このうち、単離ミトコンドリアより、直接チトクロムcを放出する活性を有する化合物を絞り込んだ。その結果、もっとも活性の強力な化合物としてACS阻害剤を得た。細胞レベルでACS阻害剤によるミトコンドリアからのチトクロムc放出およびアポトソーム依存的なカスパーゼ活性化は、ミトコンドリア局在性のアイソザイムであるACS5の発現によって強力に阻害された。さらに、ミトコンドリア、ER、ゴルジ局在タグ置換型ACS5を構築し、これを用いてアポトソーム活性化阻害におけるACS局在選択性の関与を検討した。その結果、ミトコンドリア局在性ACSの関与が示唆された。また、ACS5によるチトクロムc放出制御機構をより詳細に解析するため、Baxによるミトコンドリアからのチトクロムc放出依存的なアポトーシス誘導系を構築し、ACS5発現による阻害作用を検討した。その結果、ACS阻害剤は、Baxによるカスパーゼ活性化を促進し、ACS5の過剰発現はこれを阻害した。この際、ACS5の過剰発現は、チトクロムc放出の下流でアポトソーム活性化の過程をも抑制していることを示唆する結果を得た。
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