2006 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋細胞のメンブレントラフィック;筋形成過程におけるSNARE蛋白質の役割
Project/Area Number |
18790139
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
多鹿 友喜 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助手 (90400738)
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Keywords | 骨格筋 / 筋衛星細胞 / SNARE蛋白質 / VAMP |
Research Abstract |
緒語 SNARE蛋白質は、細胞内の小胞輸送を制御する蛋白群である。神経細胞の開口放出や、上皮細胞の極性形成などに重要な役割を果たすが、骨格筋細胞における発現と役割は知られていない。これまでに、SNARE蛋白質のうち小胞に発現するVAMPファミリーに注目し、VAMP2が筋衛星細胞および培養細胞(C2C12細胞)に発現することを見出した。VAMP2の組織分布、細胞内分布を光学顕微鏡および電子顕微鏡レベルで解析した。観察を行った。また、筋再生過程におけるVAMP2の発現と分布を観察した。得られた結果は、誌上発表した(Tajika Y et al.2007 Cell Tissue Res.in press)。 結果と考察 VAMP2は、筋衛星細胞では核周辺部に多く発現し、骨格筋細胞の細胞質に若干の発現がみられた。電子顕微鏡による観察で、VAMP2は衛星細胞および筋細胞の細胞質に分布しているのが確認できた。衛星細胞は筋再生時に活性化し筋芽細胞となる。そこで、カルジオトキシンで筋を傷害し、その後の筋再生過程におけるVAMP2の発現を観察した。VAMP2は傷害後3日目に未熟な再生筋に多く発現した。筋の成熟にともない、VAMP2は筋細胞の周辺部に発現した。VAMP2小胞の既知の機能として、脂肪細胞における糖輸送体・GLUT4の細胞内輸送がある。そこでVAMP2とGLUT4の二重染色を行ったところ、骨格筋細胞において両者は共分布を示したが、筋衛星細胞にはGLUT4の発現は認められなかった。以上の結果から、骨格筋細胞においては、VAMP2はGLUT4の細胞内輸送に関与していることが考えられるが、筋衛星細胞および再生過程の筋細胞においての役割は、今後の研究課題である。可能性として、成長因子などの分泌、ジストログリカンやインテグリンなどの形質膜内在蛋白質のソーティングに寄与することがあげられる。
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