2006 Fiscal Year Annual Research Report
液性刺激と機械的刺激による細胞内フリーラジカル産生機序の詳細な解明
Project/Area Number |
18790156
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿部 倫明 東北大学, 病院, 助手 (40400246)
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Keywords | 酸化ストレス / 一酸化窒素 / 腎臓 / 尿細管 / メサンギウム / 食塩 / 機械的刺激 / アンギオテンシンII |
Research Abstract |
1.食塩摂取は一過性の体液量増加を引き起こし血中Na濃度の上昇を引き起こすことなく、速やかに尿中排泄される。しかしながら、その過程で尿細管腔内に対し必然的に高容量の食塩溶液が負荷される。そこで、腎髄質のHenleの太い上行脚(mTAL)へのNa負荷がmTALのレドックスを変化させるという仮説を証明するために以下の研究をした。まず、"in vitro micropuncture"法を開発した。この方法は、単離したmTALを灌流しながら細胞内のスーパーオキシド(0_2^-)と一酸化窒素(NO)の急性変化を蛍光顕微鏡下でリアルタイムに観察・測定することを可能にした。灌流液のNa浪度の上昇や流速の上昇により、mTAL細胞内の0_2^-は増加し、NOは減弱した。その作用は,Na淡度の上昇の方が流速の上昇よりも、より強くmTAL細胞内の酸化ストレスを亢進させた。この発見は、食塩摂取過剰による腎毒性・血圧悪化作用が、Naによる酸化ストレス増強作用によるものであることを示唆するものである。 2.メサンギウム培養細胞における細胞内酸化ストレスを測定する実験系を確立した。ヒト、及びラットの培養メサンギウム細胞を使用し、細胞内活性酸素をreal-time fluoresent microscopy下に観察した。活性酸素の指標にDihydroethidiumを使用した。10^<-7>MAIIと13.5M Gluの含有培養液で予め6時間培養した細胞では、活性酸素産生能がコントロールに比し有意に増加したが、AIIまたはGluのみの場合には増加しなかった。さらにNADPHオキシダーゼ阻害剤やミトコンドリア系路の阻害剤、またはATR1拮抗剤の前処置後で活性酸素産生能は阻害された。このようにメサンギウム細胞において、AIIとGは共依存的に活性酸素を合成していると考えられた。
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