2007 Fiscal Year Annual Research Report
液性刺激と機械的刺激による細胞内フリーラジカル産生機序の詳細な解明
Project/Area Number |
18790156
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿部 倫明 Tohoku University, 病院, 助教 (40400246)
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Keywords | 酸化ストレス / メサンギウム細胞 / 内皮細胞 / 糖尿病性腎症 |
Research Abstract |
今回の研究課題では、本研究施設において腎・血管に関わる培養細胞において、薬剤による急性のフリーラジカル反応を捉える実験系の確立を行い、以下の研究を行った。 (1)ヒトメサンギウム細胞における高糖状態とアンギオテンシンIIによる活性酸素産生調節機序の解明;この研究では、メサンギウム細胞においても、アンギオテンシンIIによりNADPHオキシダーゼの活性化が誘導されること(priming activation)・また、その活性化は培養液中のグルコース濃度が高くなるほどより増強される事が示された。この結果より、糖尿病性腎症の糸球体病変の発症は、高血糖とアンギオテンシン2などの脈管作動物質の両方の相互作用が必要であると考えられた。 ヒト大動脈内皮細胞において、カルボニルストレス物質(メチルグリオキサール;MG)による酸化ストレス産生反応を測定した。その結果、慢性腎不全で認められる濃度の血中MGは、内皮細胞における酸化ストレスを増強させた。更に、その機序にはミトコンドリアの関与が重要であった。 これらの研究により、糖尿病における腎障害が、高血糖・脈管作動物質・腎毒性物質のいずれにおいても、腎硬化症・動脈硬化症を進行させる事が分かった。高血糖時には脱水になるため、アンギオテンシンIIが増加する可能性がある。従って、糖尿病の悪化は糖尿病性腎症をフィードフォワード的に増強することが考えられた。
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