2006 Fiscal Year Annual Research Report
肥大型心筋症マウスを用いた心筋クロライドチャネルの機能解析と心不全進展への関与
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18790158
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
山本 信太郎 佐賀大学, 医学部, 助手 (40336110)
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Keywords | 心筋細胞 / 心肥大 / クロライドチャネル |
Research Abstract |
高齢化や生活習慣の欧米化により、心疾患を発症する患者数の増加し、心不全の病態解明は早急の課題である。これまでの我々の研究から、心筋細胞障害に対する防御機構にクロライドチャネル(Cl channels)が重要な役割を持つことが明らかとなった(Yamamoto et al.2001, Yamamoto et al.2004)。不全心筋では心筋Cl channelsの電気生理学的特性が変化しているとの仮説を立て、不全心筋モデルとして圧負荷心肥大マウスを作製した。本年度は、この心肥大マウスの心筋細胞における検討を目的とした。電気生理学的、薬理学的手法を用いて、心筋Cl channelsと肥大心との関連に対する平成18年度の研究結果は以下である。 1:[圧負荷心肥大マウスにおける心電図と活動電位の変化] 正常マウスでは、心電図II誘導のQRS波はヒトとは異なり、2個の速いupstrokeと引き続く1個の遅いdownstrokeからなるが、心肥大マウスでは3個のupstrokeと1個のdownstrokeからなることが明らかと成った。更に、ホールセルパッチクランプ法での単離心室筋細胞の検討で、活動電位持続時間の延長が判明した。 2:[肥大心室筋細胞の容量調節性Cl電流のbasalな活性化] ホールセルパッチクランプ法より、肥大心室筋細胞にbasalな電流の増加が判明した。この電流は、陰イオン選択性があり、DIDS(Cl channels抑制剤)に感受性があり、さらに複数の特性が容容量調節性Cl電流(I_<Cl.vol>)と一致した。 通常、細胞内浸透圧の上昇か細胞外浸透圧の低下による細胞膜伸展によって活性化されるI_<Cl.vol>が持続的に活性化されていることが、肥大心における心電図変化や活動電位変化、そして、肥大心から不全心への移行に関与することが示唆された。
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