2006 Fiscal Year Annual Research Report
本態性高血圧発症におけるENaCの関与とフラボノイドの影響
Project/Area Number |
18790160
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
青井 渉 同志社大学, 研究開発推進機構, 講師 (60405272)
|
Keywords | 高血圧症 / 腎臓 / 食塩摂取 / 尿細管 / フラボノイド / イオンチャネル |
Research Abstract |
本研究の目的は、(1)本態性高血圧の発症に腎臓上皮型ナトリウムチャネル(ENaC)が関与すること、(2)フラボノイドの高血圧抑制作用機構としてENaC機能の抑制が寄与することを検証することである。今年度は、本態性高血圧の発症過程においてENaCが関与するか否かについて検討した。 本態性高血圧モデルであるSpontaneously hypertensive rat(SHR)は、4週齢を過ぎたあたりから血圧が上昇し始め、12週齢付近まで上昇し続ける。したがって、血圧上昇前(4週齢)、血圧上昇中(8週齢)および血圧上昇後(12週齢)の3時点において腎臓ENaC発現量をそれぞれ測定し、高血圧発症過程におけるENaC発現の経時変化について検討した。その結果、ENaCの3っのsubunit(Alpha、Beta、Gamma)ともに、週齢間で顕著な変動はみられなかった。一方、血圧の上昇しない対照ラットであるWistar kyoto rat(WKY)では、8週齢および12週齢において4週齢時と比較してENaC(BetaおよびGamma)発現の減少がみられた。したがって、SHRにおける血圧上昇に、ENaC活性が高いレベルで維持されていることが関与していると考えられる。このとき血中アルドステロンは、SHR、WKYともに8週齢および12週齢において4週齢と比較して減少した。一般に、ENaCの発現レベルはアルドステロンによって増大する。WKYでは加齢によるアルドステロン減少に伴い、ENaC発現レベルも低下した。一方、SHRでは加齢によりアルドステロンが低下しているにもかかわらず、ENaC発現レベルの低下が認められなかった。これらの結果は、SHRにおける腎臓ENaCの発現がアルドステロンによって正常に制御されていないことを示している。 本研究より、本態性高血圧症ではアルドステロンによる腎臓ENaC発現の制御機構が正常に行われず、このことがナトリウム再吸収を亢進させ血圧上昇を誘発する一因になると考えられる。
|