2006 Fiscal Year Annual Research Report
マウス精子でのフォスファチジルコリン転移酵素類似蛋白とイオンチャネルの相互作用
Project/Area Number |
18790162
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
中瀬古 寛子 東邦大学, 医学部, 助手 (80408773)
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Keywords | イオンチャネル / カルシウム / リン脂質 / 精子 |
Research Abstract |
PCTP-Lの結合部位をもつL型Ca^<2+>チャネルCa_V1.2(α_<1C>サブユニット)の電流キネティクスの解析を行った。Ca_V1.2は精子の頭部でβ_1サブユニットと共に発現している。Ca_V1.2をβ_<1a>とα_2/δの定常発現株BHK6細胞に発現させ、電位依存性不活性化及びCa^<2+>依存性不活性化を相同性の高いCa_V1.3と比較した。また2サブユニット間で作成したキメラや点変異を導入したチャネルを同様に解析した。Ca_V1.3はCa_V1.2より電位依存性活性化と不活性化をより低電位で起こし(-17mV及び-13mV)、第2膜貫通ドメインをCa_V1.3型にしたCa_V1.2(CD2キメラ)は電位依存性不活性化が-17mVシフトする。この第2膜貫通ドメインのS4セグメント(電位センサー)のHis(Ca_V1.2ではTyr)が電位依存性不活性化の過分極方向へのシフトに関与することが分かった。また第2膜貫通ドメインにおいてS1-S2リンカーではCa_V1.2のHisに対しCa_V1.3のAspと電荷が異なるので、Ca_V1.2においてアミノ酸置換(H550D)すると電位依存性不活性化が-14mVシフトした。一方、電位依存性不活性化のキネティクスを比較すると、Ca_V1.2の電流の不活性化が速く、脱分極時の電流の減衰成分がより大きかった。Ca_V1.2のC末をCa_V1.3と置換すると電位依存性不活性化は遅くなった。Ca^<2+>依存性不活性化は両サブタイプ間で違いが見られなかった。以上より不活性化の電位依存性に第2膜貫通ドメインのHisが関与し、不活性化キネティクスの相違はC末が関与する可能性が示唆された。以上の結果は生理研研究会「イオンチャネル・トランスポーターと心血管機能」(平成18年12月)、第80回日本薬理学会年会(平成19年3月)、第84回日本生理学会大会(平成19年3月)にて口頭発表した。
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