2006 Fiscal Year Annual Research Report
肝再生過程におけるプラスミン系依存性アポトーシスに関する基礎的研究
Project/Area Number |
18790163
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
河尾 直之 近畿大学, 医学部, 助手 (70388510)
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Keywords | プラスミン / 細胞内情報伝達 / アポトーシス / 肝再生 |
Research Abstract |
プラスミノゲン/プラスミン系は肝臓の組織再生・再構築における中心的な分子として捉えられているが,その詳細な細胞内情報伝達機構は未だ不明である.そこで本年度は,プラスミンによる肝細胞増殖作用のメカニズム,およびプラスミンの抗アポトーシス作用を,マウス初代培養肝細胞系にて検討した. (1)プラスミンの肝細胞増殖促進作用に関する研究:マウス初代培養肝細胞において,プラスミンは濃度依存的にERK1/2のリン酸化を誘起した.さらに種々のインヒビターを用いた阻害実験,および生体分子問相互作用解析装置IAsysによる結合実験の結果から,プラスミンはリジン結合部位を介して肝細胞に結合し,自身のプロテアーゼ活性依存性にERK1/2経路を活性化することが明らかになった.また,プラスミノゲン遺伝子欠損マウス由来肝細胞において,プラスミンはERK1/2経路の活性化を介して血清除去時の細胞生存率を亢進することが明らかになった. (2)プラスミンの抗アポトーシス作用に関する研究:肝細胞において,プラスミンはERK1/2経路の活性化を介して,血清除去によるアポトーシス促進性タンパク質Bimの発現増加およびcaspase-3活性化を抑制することが明らかになった.さらにAPOPercentage Apoptosis Assayにより,プラスミンは血清除去による肝細胞のアポトーシスを有意に抑制することが明らかになった. 以上より,プラスミ(ノゲ)ンは肝細胞表面に結合し,ERK1/2経路の活性化を介して細胞保護的に働くことが示唆された.来年度はin vitroで得られた結果がin vivoでどのように反映されているかを,プラスミノゲン遺伝子欠損マウスを用いた肝障害モデルにおいて検討を行う予定である.
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Research Products
(3 results)