2006 Fiscal Year Annual Research Report
KCNQ1チャネルのKCNE1会合による活性化遅延機構の電気・光生理学的解析
Project/Area Number |
18790164
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
中條 浩一 生理学研究所, 分子生理研究系, 助教 (80390699)
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Keywords | 生物物理 / 生理学 / イオンチャネル / 電気生理学 / 光生理学 / カリウムチャネル / 電位センサー / 分子生物学 |
Research Abstract |
研究の目的 QT延長症候群の原因遺伝子でもある電位依存性カリウムチャネルの一種KCNQ1は、補助サブユニットKCNE1が加わることによって、電流量が数倍に増加するほか、活性化のキネティクスが100倍以上遅くなる。本研究は、KCNQ1の電位センサー領域に注目し、KCNE1が存在するときとしないときの電位センサーの動的構造変化を電気生理学的、光生理学的手法で捉え、KCNE1会合によるKCNQ1チャネルのゲーティング機構修飾のメカニズムを明らかにすることが目的である。 1.MTSETによる電位センサーの膜電位依存的な動きの解析 Shakerチャネルで行われた過去の実験を参考にS3-S4リンカーからS4にかけての何箇所かを対象に、システイン残基に置き換えた変異体のシリーズを作成した。システイン残基を修飾するMTSETまたはMTSESを投与し、膜電位依存的な電位センサーの動きについてKCNE1サブユニット存在下、非存在下での違いについて検討を行った。これによりKCNE1存在下では電位センサーの動きが13倍遅くなっていることを明らかにした。また同じくKCNEファミリーであるKCNE3存在下ではKCNQ1チャネルは開いたままのチャネルになるが、この状態では電位センサーが細胞外に向けて上がったままの状態であることも明らかにした。KCNEサブユニットにより、電位センサーの平衡が偏り、チャネルが開きにくくなったり、開きやすくなったりすることがわかった(第84回生理学会発表)。 2.TMRMによる電位センサーの膜電位依存的な動きの解析 1.での結果に基づき、電位センサーの動きをより直接的に観察するべく、TMRMの蛍光変化と電流を電位固定化で同時に観察するための測定機器を構築した。電位センサーの膜電位依存的な動きの解析を現在行っている。
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