2007 Fiscal Year Annual Research Report
KCNQ1チャネルのKCNE1会合による活性化遅延機構の電気・光生理学的解析
Project/Area Number |
18790164
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
中條 浩一 National Institute for Physiological Sciences, 分子生理研究系, 助教 (80390699)
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Keywords | 生物物理 / 生理学 / イオンチャネル / 電気生理学 / 光生理学 / カリウムチャネル / 電位センサー / 分子生物学 |
Research Abstract |
KCNQ1はKCNE1とともに不整脈の原因遺伝子として同定されたが、両者の複合体が構成する非常に遅いキネティクスをもったイオンチャネルは、臨床的な重要性のみならず生物物理学的にも興味深い研究対象として、過去10年にわたってさまざまな研究がなされてきた。しかしながら、KCNE1の会合による電位依存性の明らかな変化にも関わらず、電位センサーを構成するS4セグメントがイオンチャネル機能の修飾にどのように関与しているかについては、まったく報告がなかった。本研究は、KCNQ1の電位センサー領域に注目し、KCNE1が存在するときとしないときの電位センサーの動的構造変化を電気生理学的、光生理学的手法で捉え、KCNE1会合によるKCNQ1チャネルのゲーティング機構修飾のメカニズムを明らかにすることが目的であった。 脱分極時、すなわち電位センサーが"up state"にあるときのみ細胞膜外に露出する場所である226番目のアラニンにシステイン変異を導入し(A226C)、システイン残基を修飾するMTSETまたはMTSESを投与し、膜電位依存的な電位センサーの動きについてKCNE1サブユニット存在下、非存在下での違いについて検討を行った。その結果、KCNE1存在下ではMTSによる修飾速度が約13倍遅くなることが明らかとなった、それに対してKCNE3とKCNQ1の複合体では修飾速度は膜電位に依存しなかった。これらの結果により、S4セグメントがKCNQ1チャネルのKCNEタンパク質による修飾に深く関与していることを初めて明らかにした。この成果はJournal of General Physiology誌に筆頭著者論文として発表した。
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Research Products
(6 results)