2006 Fiscal Year Annual Research Report
小腸におけるエピジェネティック調節と栄養素・ホルモンの役割
Project/Area Number |
18790171
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
望月 和樹 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (80423838)
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Keywords | 小腸 / 栄養素 / クロマチン / エピジェネティック / ヒストンアセチル化 / マイクロアレイ / ホルモン / p44 / 42 MAPK |
Research Abstract |
申請者は初年度の研究において、まず、高等質食摂取時におけるラット小腸遺伝子発現をまずマイクロアレイ解析にて網羅的に調べ、糖質摂取時に多くの転写因子ならびに情報伝達関連遺伝子の発現が上昇することを明らかにした。また、マウス高糖質食摂取時における小腸の空襲細胞に発現し、二糖類氷解酵素であるスクラーゼ・イソマルターゼ(SI)が、発現上昇し、そのときのST宣伝子上のヒストンは、ヒストンH3、H4共に、アセチル化か上昇するだけではなく、核内転写因子Cdx-2、HNF-1ならびにRNAPolymeraseIIの結合が上昇することを明らかにし、欧文雑誌(Biochem Biophys Res Commun.2007,in press)に投稿した。また、フルクトースを強制発現させたマウスにおいてSIだけではなく、フルクトースの小腸における輸送担体であるGLUT5の遺云子発現上知こは、ヒストンのアセチル化を伴うことを明らかにし、現在、欧文雑誌に投稿準備中である。また、GLUT5遺伝子の発達過程における遺伝子発現が甲状腺ホルモン(T3)により、核内受容体の一つである甲状腺ホルモン受容体TRα1を介して調節されていることを明らかにしただけではなく(Biochim Biophys Acta.2007,1770(4),609-16)、小腸様培養細胞Caco-2において、T3ならびにグルココルチコイドホルモン(GC)により、それぞれ、TRα1、グルココルチコイドホルモン受容体GRを介して調印されることを明らかにした。さらにこのCaco-2細胞におけるT3,GCによるGLUT5の発現誘導は、p44/42MAPKの阻害によって、劇的に増大することを明らかにした。特にGCと44/42MAPK阻害による発現誘導時には、ヒストンのH3ならびにH4のアセチル化か劇的に増大するだけではなく、転写抑制に関与するヒストンH3のN末端のIys9がGCならびにp44/42MAPK阻害時に劇的に減少することを明らかにした。また、申請者は、ラット小腸を幹細胞であるクリプトから絨毛毛細胞分化時に上昇するSI遺伝子の発現がCdx-2によって調節されているだけではなく、ヒストンのメチル化・アセチル化により調節されていることを明らかにした。これらのことにより、小腸分化時、ならびにホルモン・栄養素により上昇する小腸吸収関連遺伝子の発現は、転写因子だけではなく、ヒストンの修飾に伴う劇的なクロマチン構造変化によるものであることが示唆された。
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