2006 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類概日リズム制御機構における視交叉上核の領域特異性の解明
Project/Area Number |
18790173
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
足立 明人 埼玉大学, 理工学研究科, 助教授 (20351588)
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Keywords | 概日リズム / 視交叉上核 / 時計遺伝子 / 分子制御機構 / Id2 / 恒明条件 |
Research Abstract |
体内時計の中枢である視交叉上核と末梢器官の一つである肝臓の両方で遺伝子発現に概日リズムが見られる遺伝子の中の一つであるId2に関する研究を行った。この遺伝子はHLH型転写因子に結合し、転写を抑制することが知られている。概日リズム分子制御機構において転写促進因子であるBmal1とClockは共にbHLHドメインを持ち、両者は結合しE-Boxを介してmPer1等の転写を促進する。そのため、Id2がその機能を抑制し、概日リズム制御機構に関与していると予想し、Id2のKOマウスの行動リズム解析を行った。 これまでの研究より、KOマウスは光周期の位相を後退させた時に再同調に遅延が見られる事が明らかとなった。そのため、その原因を検討するため、光照射による時計遺伝子の発現、及び位相変位を調べたが遺伝型による差は見られなかった。しかし、明暗条件から、恒明条件にすると、行動リズムの開始時刻の遅延が見られ、さらに行動量の減少が見られた。そのため、恒明条件下で視交叉上核における時計遺伝子mPer1を調べた結果、KOのmPer1発現量は野生型と比べ有意に上昇した。さらに、同条件下でId2の変動を調べたところ、Id2の発現は明暗条件と比べ有意に上昇している事が明らかとなった。mPer1は視交叉上核において、明期のシグナルを示すと考えられており、行動開始時刻の遅延や行動量の減少はId2の欠損によりmPer1発現の上昇が原因と考えられる。以上の事から、Id2はmPer1の発現を抑制してきに制御する事により、視交叉上核の分子制御機構に関与する事が明らかとなった。
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