2006 Fiscal Year Annual Research Report
癌骨転移成立・進展過程において制御性T細胞が果たす役割の検討
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18790180
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Research Institution | Josai International University |
Principal Investigator |
神谷 貞浩 城西国際大学, 薬学部, 助手 (10398555)
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Keywords | 癌 / 骨転移 / 破骨細胞 / サイトカイン / IL-27 / T細胞 |
Research Abstract |
研究目的は、癌細胞の骨転移における増殖・進展機構を骨破壊と免疫学的排除機構の破綻の観点から検討すること、および制御性T細胞と腫瘍免疫さらに骨破壊メカニズムへの免疫系細胞の関与という点に着目し,局所免疫と骨破壊の関係を解析することである 平成18年度はin vitro研究を行い、次の結果を得た。1)マウス乳癌細胞株BALB/c-MCと骨芽細胞を共存培養すると培養上清中のPGE_2濃度が上昇し[1]、2)PGE_2は、活性化T細胞における破骨細胞分化抑制性のサイトカイン(IFNγ,IL-4,GM-CSF,IL-10)の産生、および促進性のTNFαの産生をいずれも抑制した。一方、3)Th1細胞の分化に関与するIL-27は、活性化T細胞存在下、破骨細胞前駆細胞からの破骨細胞分化を対照に比し有意に抑制し[2]、4)またIL-27は、活性化T細胞からの免疫抑制性IL-10の産生を対照の約2倍に増大させ、GM-CSFを1/10に減少させた。 以上より、乳癌細胞の骨転移局所では、産生されたPGE_2により免疫機能が抑制されている可能性が示唆された。一方でIL-27は活性化T細胞を介し破骨細胞分化を抑制することが明らかとなり、さらに免疫抑制的にも作用する可能性が示唆された。上記実験では約70%のCD3^+T細胞を含む脾細胞を用いており、現在磁気ビーズを用い高純度のT細胞サブクラスの分離を行っている。今後これらの細胞を用いて骨転移および骨破壊に関与する細胞、分子を同定し、メカニズムを考察していくとともに、in vivo研究についても行っていく予定である。 1.Ono K, Kamiya S, et al.(2006)Bone(39)27-34 2.Kamiya S, et al.(2007)in press
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