Research Abstract |
骨への癌転移,関節リウマチなどの炎症部位での骨破壊においては破骨細胞が重要な役割を果たしており,従って破骨細胞の分化,活性を制御することが重要な課題となっている. 昨年度,研究目的の一つである局所免疫と骨破壊の関係についてin vitroでの解析を行った.活性化T細胞存在下,破骨細胞前駆細胞からの破骨細胞分化は抑制され,Th1細胞の分化に関与しIL-12ファミリーに属するIL-27は,活性化T細胞による破骨細胞分化の抑制作用をより強く有意に増強することが明らかとなった[1].この機構を解明する過程でIL-27は,活性化T細胞からIL-10の産生を対照の約2倍に増大させ,GM-CSFを1/10に減少させた.さらに興味深いことに活性化T細胞での破骨細胞分化因子RANKLの発現を顕著に抑制することが明らかとなり,この作用はRANKL発現阻害作用を持つIL-10に非依存的な作用であることがIL-10欠損マウス由来のT細胞を用いた実験で判明した[投稿準備中].現在,磁気ビーズを用いT細胞サブクラスを分離し, RANKL発現に影響を受けるT細胞サブクラスの同定を行うとともに,T細胞サブクラスによる破骨細胞前駆細胞からの破骨細胞への分化誘導系の確立を試み,IL-27のRANKL発現抑制作用に基づく破骨細胞分化制御について検討し,さらにIL-27シグナル伝達分子であるSTAT1,あるいはSTAT3を欠損したT細胞サブクラスでのRANKL発現への影響について調べている.また今後,転移性乳癌細胞,制御性T細胞によるRANKL発現への影響についても解析する予定である. 1.Kamiya S, et. al. (2007) Journal of Bone and Mineral Metabolism 25, 277-285
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