2006 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病動物モデルにおける神経型グルタミン酸トランスポーターの役割
Project/Area Number |
18790182
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
青山 晃治 帝京大学, 医学部, 講師 (00420943)
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Keywords | パーキンソン病 / EAAC1 / グルタチオン / MPTP / N-アセチルシステイン |
Research Abstract |
マウスパーキンソン病(PD)モデルを用いて、パーキンソン病における神経型グルタミン酸トランスポーター(EAAC1)の役割を明らかにするために、MPTPを腹腔内投与したマウスを用いて実験を行った。MPTPを5日間投与したマウスでは、ロタロッドテストにおいて運動機能の低下を認めた。また酵素反応を用いたグルタチオン測定では、MPTP投与マウスの中脳グルタチオンは低下していたが、N-アセチルシステイン(NAC)、もしくは7-ニトロインダゾールの腹腔内前投与により改善した。中脳組織の免疫二重染色では、MPTP投与マウス中脳のEAAC1陽性細胞における酸化ストレスの増大を認めた。またMPTP投与マウスにおいては、ペルオキシナイトライトによる傷害マーカーであるニトロタイロシンがEAAC1に多く含まれることを免疫沈降法により証明した。これらの変化はNACの前投与により改善した。 酸化ストレスによるEAAC1の機能障害を証明するために中脳スライスカルチャーモデルを用いて実験を行った。EAAC1の重要な機能であるシステインの細胞内取り込みは、過酸化水素、EAAC1阻害薬前処置により減少した。システインの測定は蛍光マーカーであるABD-Fを用いてHPLC法により測定した。またCMFDAおよびチロシンヒドロキシラーゼ抗体を用いた免疫二重染色では、中脳ドパミン神経細胞のグルタチオン量が過酸化水素処置により低下し、NAC投与により増加していることを確認した。 システインはグルタチオン産生を調節する重要なアミノ酸である。MPTP投与マウスにおいては、中脳ドパミン神経細胞が酸化ストレスを受けることによりEAAC1の機能障害を引き起こし、システイン取り込みの低下、ひいてはグルタチオン産生の低下を引き起こしていると考えられた。
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