2007 Fiscal Year Annual Research Report
ニコチン性レセプターによる膵島β細胞の機能調節についての基盤的研究
Project/Area Number |
18790185
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
大谷 政博 Musashino University, 薬学研究所, 助教 (90342708)
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Keywords | ニコチン / カルシウム / インスリン / 膵臓ランゲルハンス島 / β細胞 / レセプター |
Research Abstract |
前年度の研究により、ニコチン性レセプターの数種類のレセプターサブユニットのうち、ラット膵島では3種のサブユニットのmRNAが発現していたが、マウスではいずれのサブユニットも発現していないことが明らかとなっている。そこで、ニコチン性アセチルコリンレセプターのアゴニストについて、ラット膵島の細胞内Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]_i)に対する作用を調べた。ニコチン及び合成アゴニストであるA85371(ともに100μM)はどちらも全く効果を示さなかった。しかし、ニコチンがラット膵島からのインスリン分泌に与える影響は調べていないので、膵島に存在するニコチン性レセプターを介して、ニコチンが[Ca^<2+>]_i非依存的にインスリン分泌に影響を及ぼす可能性は残されている。結論として、ニコチン性レセプターはラット・マウス膵島の[Ca^<2+>]_iの調節には全く関与していないが、マウス膵臓β細胞由来の培養βTC6細胞においては、α3β4型のニコチン性レセプターを介して[Ca^<2+>]_iの上昇とインスリン分泌の促進を引き起こすことが示唆された。したがって現時点では、機能性ニコチン性レセプターの発現が培養β細胞に特有のものであると考えられるので、ガン化した膵臓β細胞などにこのレセプターが発現して、何らかの生理的役割を担っている可能性が推測される。
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