2006 Fiscal Year Annual Research Report
形態形成における上皮系細胞の集団的運動の役割およびその制御機構の解明
Project/Area Number |
18790196
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山崎 大輔 東京大学, 医科学研究所, 助手 (50422415)
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Keywords | 細胞間接着 / 上皮系細胞 / アクチン細胞骨格 |
Research Abstract |
上皮系細胞が集団的運動を行うためには、運動中の細胞が互いの細胞間接着を維持する必要がある。しかしながら細胞が移動するためには一時的にその形態を上皮系細胞のものから間葉系細胞様のものへ変化させなければならない。アクチン細胞骨格はこのどちらの細胞様の形態の形成にも重要な役割を果たしている。そこでアクチン細胞骨格の再編成の上皮系細胞における役割を調べることにより上皮系細胞の運動制御機構を明らかにすることを試みた。 上皮系培養細胞であるMDCK細胞においてアクチン細胞骨格の再編成制御に関与する分子WAVE2の細胞内局在を調べたところ、WAVE2は細胞間接着部位に濃縮していること、また運動中の細胞においては細胞運動の駆動力を生み出す葉状仮足の先端に局在することが明らかになった。このようなWAVE2の細胞内局在パターンは、WAVE2を介したアクチン細胞骨格再編成機構が集団的運動の制御を考えるうえで重要な因子であることを予想させる。そこで上皮系細胞におけるWAVE2の機能を解析するために、RNA干渉法によりWAVE2の発現を抑制した。WAVE2の発現が抑制されている細胞同士の細胞間接着部位では、接着分子であるE-cadherinなどの集積が少なく、また重合したアクチンの量の減少が認められた。WAVE2の発現が抑制されている場合には、ATらしい細胞間接着の傾城が遅くなるだけでなく、時間が十分に経過しても成熟した細胞間接着構造が認められなかった。このことからWAVE2を介したアクチン細胞骨格の再編成が細胞間接着の維持に重要な役割を果たしていることが明らかになった。
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