2006 Fiscal Year Annual Research Report
多能性維持に必須である転写因子NanogとSox2の相互関係の解明
Project/Area Number |
18790201
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
丸山 昌良 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (10423055)
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Keywords | Nanog / Sox2 / Oct3 / 4 / 多能性維持 / エピジェネティック / エンハンサー / 標的因子 |
Research Abstract |
Nanogはマウス、ヒト両ES細胞の多能性維持に深く関与しているため、その発現制御機構の解明や標的因子を同定することはES細胞の多能性分子ネットワークの解明に貢献すると考えられる。 これまでの研究によりNano9の発現は少なくともSox2、Oct3/4により制御されていることが示唆された。しかし、分化細胞に単にSox2およびOct3/4を導入してもNanogの発現は認められなかったことから、Nanogの発現にはDNAのメチル化やヒストンの脱アセチル化などクロマチン修飾の変化または、抑制因子の存在など他の要因が関与している可能性が考えられる。 そこで、まずエピジェネティックな調節の関与について検討したところDNAの脱メチル化剤である5AzadCとヒストン脱アセチル化酵素HDAC1の阻害剤であるTSAで処理を行ってもSox2,Oct3/4はNanogのエンハンサーに結合できず、Nanogの発現は抑制されたままであった。したがって、次にNanogのエンハンサーに結合するSox2,Oct3/4以外の活性化、あるいは抑制因子の存在について解析を行ったところ、クロマチン免疫沈降法により多能性維持に必須であるzinc finger motifを有する因子やいくつかのリプレッサー因子がNanogのエンハンサーに結合していることを明らかにした。これらの結果からNanogの発現はSox2,Oct3/4以外の因子においても調節されていることがわかり、多能性維持に必須である転写因子群は個々で独立に多能性維持に関与しているのではなく複雑に絡み合って作用してこのような特性を規定していることが示唆される。そこでNanog, Sox2の標的因子を同定することでもっと体系的な多能性維持機を解明できると考え,現在はNanogまたはSox2欠損ES細胞、胚を作成している段階である。 今後は欠損ES細胞,胚を用いてマイクロアレイを行い、同定されてきたNanog, Sox2の標的因子やNanog発現誘導因子の機能解析を行う予定である。
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