2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト胎児に由来する組織からの効率的な間葉系幹細胞の単離技術の開発
Project/Area Number |
18790211
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
須藤 和寛 The Institute of Physical and Chemical Research, 細胞材料開発室, 協力研究員 (10392002)
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Keywords | 胎児付属組織 / 羊膜 / 間葉系幹細胞 / 分化能 / マーカー |
Research Abstract |
昨年までに、ヒト羊膜細胞中に骨芽細胞および軟骨細胞への分化能を有する間葉系前駆細胞が存在することを明らかにしたが、脂肪細胞への分化能の有無を確定するには至らなかった。そのため、本年度は、ヒト羊膜由来間葉系前駆細胞の脂肪細胞への分化能の有無を確定するために、脂肪細胞への分化誘導条件を検討した。これまで、用いていた分化誘導条件は、脂肪細胞分化培地および脂肪細胞維持培地を交互に使用するものであるが、この条件下では脂肪細胞特異的な遺伝子の発現は確認できるが、形態的に明らかな脂肪細胞の分化を観察することは出来なかった。脂肪細胞特異的な遺伝子の発現が確認できていることから、脂肪細胞への分化誘導は進んでいるものの脂肪細胞の成熟過程に問題があるものと考えた。そこで、これまでの分化誘導条件を変更し、脂肪細胞分化培地のみによって分化誘導を行ったところ、非常に少数ではあるが細胞質に油滴をもつ特徴的な脂肪細胞を確認することができた。また、脂肪細胞への分化誘導期間を延長することによって、脂肪細胞の数が増加することも明らかとなった。このことと前年度までの知見とをあわせて、ヒト羊膜中には間葉系幹細胞および前駆細胞が存在することを明らかにできた。 また、ヒト羊膜由来CD90陽性細胞、CD166陽性細胞、NGFR陽性細胞をそれぞれMACSを用いて分離し、播種直後より骨への分化誘導を行った結果、それぞれの細胞集団において骨細胞への分化が確認された。このことから、ヒト羊膜中の間葉系幹/前駆細胞はCD90、CD166、NGFR陽性分画に存在し、これらのマーカーを組み合わせることにより、ヒト羊膜中の間葉系幹/前駆細胞を効率良く純化できる可能性が示唆された。
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