2006 Fiscal Year Annual Research Report
がん細胞のREG遺伝子の発現を抑制する制がん化合物の検索
Project/Area Number |
18790214
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野口 直哉 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (20333792)
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Keywords | REG遺伝子 / がん / 増殖因子 / 遺伝子発現抑制 / 細胞増殖抑制 / 制がん剤 |
Research Abstract |
Reg (Regeneratin gene 産物)は、膵ランゲルハンス島β細胞の再生増殖因子として発見された分泌蛋白質で、細胞表面のReg受容体を介してautocrine, paracrine様式で細胞増殖シグナルを伝える。近年、我々はヒトの消化態がんにREGのが艶められのがことを見出した。これらの症例では生命予後が有意に悪く、REGによりがん細胞の増殖がさらに活性化していることが原因であろうと考えている。このような背景から我々は「REGを分子標的とした新規がん治療薬の開発」という構想の基に研究を展開している。本研究では基礎段階として、培養消化管がん細胞の冊6遺伝子発現を抑制し、細胞増殖を抑制する化合物を選定することを目的としている。 平成18年度は当初の計画通り研究を遂行し以下の結果を得た。 1、REGを発現している(REG(+)と略記)ヒト胃がん由来の細胞株(AGS、Kato III)および大腸がん由来の細胞株(SW948、LoVo等)に、ヒトREG遺伝子プロモーター領域の下流にルシフェラーゼ遺伝子を結合したレポータープラスミドを導入し、レポータージーンアッセイによりREG遺伝子の発現抑制効果を有する化合物をスクリーニングした。この結果、ロシグリタゾン、トログリタゾン、ピオグリタゾン等のチアゾリジン誘導体がREG(+)培養ヒト消化管がん細胞株のREG遺伝子発現を抑制することを見出した。 2、上記REG(+)ヒト消化管がん細胞株の培養培地にチアゾリジン誘導体を添加し、BrdUアッセイ、WST-1アッセイにより細胞増殖抑制効果を評価したところ、チアゾリジン誘導体はREG(+)ヒト消化管がん細胞の増殖を抑制することが明らかとなった。また、この効果は培地にREG蛋白質を同時添加することにより打ち消された。 以上より、チアゾリジン誘導体はREG遺伝子の発現を抑制し分泌REG蛋白質量を減少させることでがん細胞の増殖を抑制すると考えられ、新しい制がん剤となる可能性が示された。
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