2006 Fiscal Year Annual Research Report
ムチン型糖鎖糖転移酵素欠損患者にみられる家族性腫瘍性石灰化沈着症の発症機構
Project/Area Number |
18790215
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
小代田 宗一 秋田大学, 医学部, 講師 (80400480)
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Keywords | 糖鎖 / 糖転移酵素 / FGF23 |
Research Abstract |
家族性腫瘍性石灰化沈着症(FTC)は血中リンおよびビタミンD濃度上昇、皮膚および皮下組織の石灰化の病状を呈する家族性遺伝性疾患であり、原因遺伝子の一つとしてムチン型糖鎖修飾を開始するポリペプチドN-アセチルガラクトサミン転移酵素(GALNT)の一つであるGALNT3が同定されている。本研究では血中リン濃度を調節するFGF23に着目した。FGF23はアミノ酸配列上の176番目から始まるRHTR(RXXRモチーフ)のC末側で酵素的切断を受け失活する。そこでGALNT3による糖鎖修飾とそのFGF23分子安定性への影響について解析した。RTPCR法により、HEK293細胞にFGF23およびGALNT1,2,3,4,6,7,8,10,12,13,14,15のmRNA発現を確認したので、この細胞を解析モデルとした。Pol II系プロモーターを持つRNAi発現ベクターを用いてGALNT3特異的RNAiコンストラクトを作製し、HEK293細胞に遺伝子導入後、RNAi安定発現株を樹立した。RealtimePCR法により、RNAi安定発現株では常にGALNT3の発現が特異的に約80%抑制されていることを確認した。FGF23のC末端にmycタグ配列を付加したコンストラクトを作製し、RNAi安定発現株に一過性に発現させ培養上清をウェスタンプロット解析したところ、FGF23分子断片の増加を確認した。これによりGALNT3がFGF23分子の安定性に寄与することがわかった。合成ペプチドとリコンビナントGALNT3を反応させた実験だが、FGF23のRXXRモチーフ内のTがGALNT3により糖鎖修飾を受け、furinプロテーゼによる切断に耐性を示すことが報告された。現在、GALNT3の発現を抑制したときに変化するFGF23分子上の糖鎖修飾部位の解析を進めている。
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