2006 Fiscal Year Annual Research Report
Ras標的蛋白質ホスホリパーゼCεが制御する癌化シグナルの解明
Project/Area Number |
18790223
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
枝松 裕紀 神戸大学, 医学系研究科, 助手 (70335438)
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Keywords | 癌 / シグナル伝達 / ras遺伝子 / ホスホリパーゼ / 分子生物学 / 炎症 / サイトカイン / モデル動物 |
Research Abstract |
低分子量GTP結合蛋白質Ras/RapのエフェクターであるホスホリパーゼCε(PLCε)のノックアウトマウスがDMBAをイニシエーターに、ホルボールエステルであるTPAをプロモーターに用いた二段階皮膚化学発癌に耐性を示すという我々の知見に基づき、PLCεを介した発癌機構の解明を目指した。 1.二段階皮膚化学発癌以外の腫瘍におけるPLCεの機能の解析:小腸に腺腫・腺癌を自然に発生するApc^<Min>マウスとPLCεノックアウトマウスとの交配による二重変異マウスを作成し、癌抑制遺伝子Apcの変異を伴う腫瘍形成におけるPLCεの関与について解析した。その結果、PLCε欠損による腺腫の発生、ならびに腺癌への進展の抑制が認められ、PLCεが皮膚癌以外の癌においても重要であることを示唆した。 2.プロモーション過程におけるPLCεが制御するシグナル伝達系の解析:プロモーションとのかかわりの深い炎症反応におけるPLCεの機能解析を試みた。ノックアウトマウスから調製した初代培養細胞を用いた解析を行い、TPAによりPLCεが活性化されること、ある種のケモカインの発現がPLCε依存的にTPA刺激に伴い上昇することを明らかにした。また、ノックアウトマウスを用いた個体レベルでの種々の炎症誘導実験を行い、ノックアウトマウスにおける炎症応答の抑制を見いだし、PLCεがTPAによる炎症以外にも多様な炎症応答において機能している可能性を示唆した。 3.腫瘍の悪性進展におけるPLCεの機能の解析:Apc^<Min>マウスとPLCεノックアウトマウスとの二重変異マウスを用いた解析から、腺癌への悪性進展へのPLCεの関与の可能性を示唆した。
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Research Products
(2 results)