2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規プロテオミクス手法を用いた卵巣明細胞腺癌関連タンパク質の機能解析
Project/Area Number |
18790226
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
荒川 憲昭 Yokohama City University, 国際総合科学研究科, 助教 (60398394)
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Keywords | 卵巣癌 / 明細胞腺癌 / プロテオミクス / アネキシンIV / 分子標的治療 |
Research Abstract |
我が国では、悪性度の高い卵巣明細胞腺癌(CCA)の発生率が上昇する傾向にあることから、CCAに対する新しい分子標的治療薬の開発が求められている。しかしCCAにおける分子生物学的知見は十分には得られていないのが現状である。申請者らは、プロテオミクス的アプローチからCCA細胞が特異的に産生しているタンパク質の探索を試みた。2種のCCA細胞株OVTOKOおよびOVISE、比較対照として粘液性腺癌細胞株MCASを用いてプロテオームを比較した結果、OVTOKOとOVISE細胞において25種類のタンパク質の発現量が著しく増加していることが認められた。この結果をさらに精査するために、様々な卵巣癌細胞株や患者組織検体を用いて、ANX4タンパク質およびmRNAの発現量をウエスタンブロット法および定量RT-PCR法により調べたところ、スーパーオキシドディスムターゼ1(SOD1)の発現がタンパク質レベルで、アネキシンIV(ANX4)、ラミニンB2(LAMB2)、ガレクチン3、N-Myc下流制御遺伝子(NDRG1)、ダブルコルチンドメイン含有タンパク質2(DCDC2)の発現がタンパク質およびmRNAの両レベルともに、CCA細胞特異的に増加していることが明らかになった。次にmRNAレベルで発現上昇していた分子の発現をRNA干渉により抑制したところ、ANX4、NDRG1、DCDC2の発現抑制によりCCA細胞の増殖が阻害され、特にANX4の発現抑制はアポトーシス抑制因子Bc1-2の発現低下が認められた。したがって同定されたタンパク質はCCAの新規抗悪性腫瘍薬の標的となることが考えられ、当該タンパク質の機能もしくは発現を制御する薬剤を開発すれば、新たな卵巣CCAの治療に繋がる可能性が示唆された。
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Research Products
(13 results)