2008 Fiscal Year Annual Research Report
家族性筋萎縮性側索硬化症におけるミトコンドリア異常の病態解明と新規治療法の開発
Project/Area Number |
18790227
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
吉良 幸美 Osaka City University, 医学部, 技術職員 (90420728)
|
Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / ミトコンドリア / カルニチン / 酸化障害 / 治療 |
Research Abstract |
神経系や骨格筋のようなミトコンドリア依存性の高い組織では、正常なミトコンドリア機能の維持がきわめて重要である。前年度までにミトコンドリアへ可逆的に結合局在するSOD1はミトコンドリア機能に密接な関係があり、SOD1の変異を伴うFALSでは病態の発症及び進行にミトコンドリアの機能障害が関与していることを明らかにした。また、ミトコンドリア保護作用のあるカルニチンは家族性筋萎縮性側索硬化症モデルマウス(FALSTg)の病態発症遅延効果と延命作用があることを示した。全ALS中SOD1が関与するFALSは数%程度であることから大部分の弧発性ALSにおいてその病態発症に関してミトコンドリアの関与を検討する目的でALS患者神経組織のミトコンドリアDNA(mtDNA)変異解析を行った。その結果、ALSでも多くのmtDNA変異が見られALSの病態とミトコンドリア機能障害の関係が示唆された。また、カルニチンによる治療においては、実際の臨床応用を考え発症後の延命効果を検討したところ発症後に治療を開始した場合でも延命効果があることが示された。病態発症後にはミトコンドリア機能障害も進行していることが予測されるが、カルニチンの作用が有効な段階は発症後のどの毅階までなのかは明らかではなく、ミトコンドリア機能レベルと病態進行の関連およびカルニチン等ミトコンドリア保護作用のある薬剤による治効果に関しては今後さらに解析が必要である。 申請者は平成18年度より3年間FALS病因の解明と治療法の開発に関してミトコンドリアに注目した解析を行ってきた。ミトコンドリアの機能障害は細胞ダメージに直結するが、細胞内環境全体の理解を行う上ではミトコンドリア障害と関連のある他のオルガネラとの相互作用を解析することも重要であり今後はこの観点からも解析を進めていく予定である。
|
Research Products
(4 results)