2006 Fiscal Year Annual Research Report
特発性肺線維症における発癌-炎症と喫煙の複合作用に着目した高癌化状態の解明
Project/Area Number |
18790239
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 明輝 東京大学, 大学院医学系研究科, 助手 (90317090)
|
Keywords | 突発性肺線維症 / 肺癌 / 免疫組織化学 / AKR1B10 / 喫煙 / 遺伝子多型 / TGF-beta / 血管新生 |
Research Abstract |
(1)特発性肺線維症における肺癌発生と各種サイトカイン遺伝子多型 肺癌合併及び非合併のIPF(Idiopathic Pulmonary Fibrosis)症例それぞれ9、21名、健康成人対照群103名の末梢血から抽出したDNAを用いてTGF-β1、TNF-α、IL-1β、IL-10の遺伝子多型について検討した。その結果、TGF-β_1 codon 25 Arg/ProがIPF患者における肺癌発生の危険因子であることが判明した。TGF-β_1 codon 25 Arg/ProはTGF-β_1産生非亢進型のgenotypeとされる。したがって、TGF-β_1がIPFにおける肺癌発生に抑制的に作用している可能性が示唆された。 (2)特発性肺線維症扁平上皮化生部におけるAldo-keto reductase1B10(AKR1B10)の発現 肺癌合併及び非合併各13例につき、AKR1B10の免疫組織化学的検討を施行した。(a)AKR1B10発現はIPF肺において扁平上皮化生部に限局する。(b)肺癌合併IPFでは肺癌非合併IPFより扁平上皮化生でのAKR1B10発現が有意に高頻度であり、強度であり、これらの結果より、IPFにおける扁平上皮化生の発生および肺癌の合併にAKR1B10が関与することが示された。 (3)特発性肺線維症蜂巣肺における血管新生と発癌 肺癌発生の背景となるIPF蜂巣肺の微小血管密度を組織計測手法により、比較検討した(対象は肺癌合併IPF13例、肺癌非合併IPF13例)。その結果、肺癌合併IPFは肺癌非合併IPFより蜂窩肺での微小血管密度は有意に高いことが示された。このことから、IPF蜂巣肺における血管新生の亢進が肺癌発生に寄与する可能性が示された。
|