Research Abstract |
1.胃MALT型悪性リンパ腫症例35例,および高度の慢性胃炎18例のホルマリン固定パラフィン切片に対して,CD34,MECA-79,およびHECA-452抗体による免疫染色を行った.その結果,慢性胃炎におけるCD34陽性血管に占めるMECA-79陽性血管の割合は約8%,HECA-452陽性血管の割合は約2%であった.一方,胃MALT型悪性リンパ腫においてはMECA-79陽性血管の割合は約2%,HECA-452陽性血管の割合は約8%であり,慢性胃炎と胃MALT型悪性リンパ腫の間で,それぞれの血管の発現頻度は統計学的有意差が認められた.このことから,胃MALT型悪性リンパ腫で出現するHEV様血管表面に発現してるL-selectin ligand鎖は,伸長型core 1構造上の非硫酸化sialyl Lewis Xと推測され,GlcNAc6ST-1ないしGlcNAc6ST-2といった硫酸転移酵素の発現が低下している可能性が示された. 2.上記で使用した胃MALT型悪性リンパ腫症例の切片で,T-selectin-IgMおよびE-selectin-IgMキメラ蛋白のin vitro結合実験を行った.L-selectin-IgMキメラ蛋白はいずれの切片においても明らかな結合は観察されなかった.一方,E-selectin-IgMキメラ蛋白は一部のHEV様内腔面に線状に結合した.この結果は,胃MALT型悪性リンパ腫で誘導されるHEV様血管の内腔面に発現している糖鎖リガンドが伸長型core 1構造上の非硫酸化sialyl Lewis Xであることに矛盾しない. 3.上記HEV様血管に接着しているリンパ球サブセットを同定するために,MECA-79抗体に加えて,CD3,CD20/CD79α抗体を用いて三重染色を行った.現在の所,特定のリンパ球サブセットとの強い関連は得られていない.
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