2006 Fiscal Year Annual Research Report
胃腸管間質腫瘍における血管新生と新しい分子標的治療への応用
Project/Area Number |
18790248
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山元 英崇 九州大学, 病院, 助手 (30404073)
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Keywords | 胃腸管間質腫瘍 / 血管新生 / c-kit / 血管内皮増殖因子 / 分子標的治療 |
Research Abstract |
胃腸管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor;以下GIST)は消化管に発生する間葉系腫瘍であり、その発生にはc-kit遺伝子変異が重要な役割を果たしている。c-kit遺伝子の機能獲得性変異により、c-kit蛋白が活性化されているが、c-kitを阻害する分子標的治療薬が臨床応用されている。しかし、その効果は症例間により異なる。最近、c-kitととも血管内皮増殖因子(VEGFR)を阻害し、血管新生阻害効果を持つ分子標的治療も臨床応用が始まりつつある。本研究では、GISTにおいて個々の腫瘍の分子病態に応じた治療への応用を目的とし、その基礎研究として、血管内皮増殖因子(VEGF)発現および血管新生がGISTの悪性化において果たす役割やc-kit遺伝子変異のタイプとの相関を解析した。 まずGIST95例において、VEGF, CD31に対する免疫組織化学染色を行った。CD31免疫組織染色にて陽性の微小血管数を顕微鏡下に計測し、microvessel density (MVD)として算出した。その結果、MVD高値は、腫瘍サイズ、組織学的グレード、VEGF発現と有意に相関していた。また、MVD高値、VEGF高発現例はそれぞれ有意に予後不良であった。さらにPCR-SSCP法を用いてc-kit遺伝子変異を解析したところ、c-kit遺伝子変異のない例のほうが、同変異を有する例よりもVEGFをより高く発現していた(統計学的有意差あり)。上記の結果より、VEGF発現は血管新生に重要な役割を果たし、それにより作られた血管はGISTの悪性化に関与していることが示唆された。さらに、VEGFとc-kit遺伝子変異型に関連があることから、VEGF発現は、c-kitの下流シグナルにより何らかの発現制御を受けている可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)