2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18790261
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
松山 篤二 産業医科大学, 大学病院, 講師 (80351021)
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Keywords | 病理学 / 人体病理学 / 軟部腫瘍 / 軟部肉腫 / キメラ遺伝子 / 診断学 |
Research Abstract |
既に、パラフィン包埋腫瘍組織からのRT-PCR法を用いて、16例の低悪性線維粘液性肉腫(LGFMS)から腫瘍特異的なFUS-CREB3L2融合遺伝子の検出を試み、14例で成功している(Am J Surg Pathol.2006,30,p1077-84)。しかし、残り2例は検出されず、パラフィンブロックからのRT-PCRは一般に手技が難しいことから、FISHの有用性の検討を計画した。FUSならびにCREB3L2遺伝子に特異的にハイブリダイズするように設計したBACクローンによるFISHを様々な条件で行ったが、現在までの段階では、コントロールの血球塗抹標本ではハイブリダイズが確認できるものの、LGFMS腫瘍組織を含めたパラフィン包埋組織では良好な結果が得られていない。 一般に軟部肉腫に特異的なキメラ遺伝子においては、互いに融合する遺伝子はともにイントロンに切断点があるため、抽出できる遺伝子の長さに制限があるパラフィンブロックからは融合遺伝子DNA検出は難しいと考えられている。しかし、FUS-CREB3L2はエクソン内に切断点を有する例も多く、DNAを鋳型としたPCR法でも検出できるのではないかと考えた。RNAよりDNAの方が一般に保存性が高く抽出も容易であることから、現在、パラフィン包埋組織から抽出したDNAを用いたPCR法でFUS-CREB3L2融合遺伝子がどの程度検出できるかを検討中で、LGFMSの約7割で検出された(RT-PCRでは検出されなかった例も含む)。現在データの再現性の確認作業中で、近く論文にまとめる予定である。 PCRのデータがまとまった後、FISHによる検討を再開する。Vysis社からFUS(16p11)のdual color break apart probeが市販されており、これを用いたFISH法の有用性についても検討していく予定である。
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