2006 Fiscal Year Annual Research Report
正常組織幹細胞を指標とするがん幹細胞特定マウスモデルの構築
Project/Area Number |
18790268
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
仲 一仁 金沢大学, がん研究所, 助手 (70372688)
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Keywords | がん / がん幹細胞 / 動物モデル |
Research Abstract |
がん組織中には増殖するがん細胞の源となるがん幹細胞が少数存在しており,がんの増殖や転移,薬剤耐性の再発の原因となる可能性が指摘されている.このがん幹細胞を個体内で標識し,特定する技術は,がん幹細胞を標的とするがん治療法を開発するうえで必要不可欠である.このようながん幹細胞を標識できる動物モデルを作出するため,正常組織幹細胞で特異的に発現誘導される遺伝子のプロモーター/エンハンサー領域の下流でenhanced green fluorescence protein(EGFP)を発現するトランスジェニック(Tg)マウスを樹立した.このTgマウスでは造血器,脳神経,消化管幹細胞においてEGFPが高発現していることを確認した.次に,このTgマウスを用いてマウス白血病モデルの構築を試みた.このTgマウス由来の未分化造血細胞を取得してHoxA9遺伝子とMeis1遺伝子を導入し,マウスに骨髄移植を行うことで急性骨髄性白血病を発症することを確認した.この白血病細胞をセルソーターを用いてEGFP陰性,弱陽性,陽性,強陽性の4種類の細胞群に分離し,それぞれの細胞形態をMay-Giemsa染色により解析したところ,EGFP陰性,弱陽性,陽性細胞では小型で分葉傾向を呈する分化型の形態を示したのに対して,EGFP強陽性細胞では大型で未分化な骨髄芽球様の形態を有していることが明らかとなった.さらに,これら4種類の白血病細胞をマウスに骨髄移植した結果,EGFP強陽性細胞を移植したマウスにおいて白血病発症頻度が著しく高いことが示された.以上の結果より,正常組織幹細胞特異的に発現遺伝子のプロモーター/エンハンサー領域の下流でEGFPを発現するTgマウスにより白血病におけるがん幹細胞(白血病幹細胞)が標識できる可能性が示唆された.
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