2006 Fiscal Year Annual Research Report
Notchリガンド誘導性Thy1陽性樹状細胞による原虫感染制御
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18790294
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
前川 洋一 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (10294670)
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Keywords | 樹状細胞 / Notchシグナル / Th17 / Trypanosoma cruzi |
Research Abstract |
本研究では細胞内寄生性原虫感染症の克服を目指し有効な免疫応答の誘導機構の解明・開発を行う。免疫応答の誘導・制御には抗原提示細胞である樹状細胞(DC)の関与が大きい。従来の研究からDCには形態的、機能的に異なる亜細胞群が同定されているが、このような亜細胞の細胞系譜決定や分化の様式の詳細はわかっていない。研究者らは細胞系譜決定因子であるNotchシグナルの研究を行っており、DC分化におけるNotchシグナルの関与を検討してきた。その結果、試験管内でのDC分化系においてNotchシグナルによって本来Tリンパ球マーカーであるThy1を発現する新規のDC (Thy1-DC)が誘導されることを見出した。試験管内で誘導したThy1-DCは強い細胞傷害性Tリンパ球誘導能を有していた。また、マウス生体内でもThy1を発現するDCがその存在比率は少ないものの存在していた。生体内Thy1-DCはTrypanosoma criczi (T.cruzi)の感染に伴い脾臓、リンパ節、肝臓で増加することが確認された。T.cruzi感染マウスからThy1-DCおよび通常のDCを分離しサイトカイン産生を検討したところ、Thy1-DCからinterferonγ (IFN-γ)の産生が観察された。さらに、Thy1-DCによるCD4Tリンパ球機能的分化制御能を検討したところ、IFN-γとIL-17の両方を産生する特異な機能的Tリンパ球(Th1/17)を誘導した。現在、IFN-γを産生するTh1とIL-17を産生するTh17とは全く異なる細胞系譜であると考えられているが、研究者らがThy1-Dcによって誘導したTh1/17は両方の機能を併有した新規の機能的Tリンパ球である可能性が示唆された。T.cruzi感染に対してIFN-γ、IL-17のいずれも重要なサイトカインであると考えられるため、両サイトカインを産生するTh1/17は多大に感染抵抗性に寄与することが示唆される。
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Research Products
(3 results)