2007 Fiscal Year Annual Research Report
肺炎球菌ワクチンの予防効果における臨床免疫学的研究
Project/Area Number |
18790300
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
國島 広之 Tohoku University, 病院, 助教 (60339843)
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Keywords | 肺炎球菌 / ワクチン / 抗体産生 / 自然免疫 / NKT細胞 / T細胞 |
Research Abstract |
肺炎は高齢者の主要な死亡原因であり、高齢化社会を迎えたわが国ではその予防が重要な対策となる。肺炎球菌は成人肺炎の最も頻度の高い起炎菌であり、65歳以上の高齢者や慢性心肺疾患を有する患者では肺炎球菌ワクチンの接種が推奨されている。しかしながら、わが国のワクチン摂取率は欧米に比べて極めて低く、高齢者のわずか4%にとどまっているのが現状である。現行の肺炎球菌ワクチンは23価の莢膜多糖体を含んだもので、胸腺非依存性抗原であることから、産生される抗体のclass switchingやaffinity maturationが限定され、メモリー細胞が誘導されないことからブースター効果は期待できない。このような免疫学的特徴とも関連して、敗血症や髄膜炎など侵襲性感染症への予防効果はみられるものの、肺炎や中耳炎など粘膜領域感染症ではその臨床的効果がエビデンスとして未だ十分には確立されていない。このような背景から、本研究では、肺炎球菌ワクチンの臨床的効果とその免疫学的機序との関連性について明らかにする目的で、ワクチン接種症例を対象とした臨床免疫学的解析を実施した。一般市中病院の呼吸器内科に通院中の慢性呼吸器疾患患者24症例を対象に、肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス[○!R])の接種前後における末梢血自然免疫リンパ球(NKT細胞、_T細胞)の動態及び血清抗体価(血清型6B、23F)の変動について解析した。ワクチン接種後早期(2週後)に自然免疫リンパ球数が増加する例と減少する例がみられ、増加例では2週後と3ケ月後にピークを有する傾向があった。血清抗体価は4週から3か月後にピークを示し、その接種前値に対する増加率と2週後の自然免疫リンパ球の増加数との関係では、CD4+NKT細胞で負の相関傾向、CD4-CD8-NKT細胞で正の相関傾向が認められた。これらの結果から、まだ症例数が少ないものの、肺炎球菌ワクチンによる抗体産生への自然免疫リンパ球の何らかの関与が推察された。
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Research Products
(1 results)