2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18790301
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森川 一也 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (90361328)
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Keywords | シグマ因子 / 黄色ブドウ球菌 / 環境応答 / コンピテンス / 進化 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
1. SigH活性化細胞ではsigH遺伝子領域の再編成によって新たなsigHキメラ遺伝子が生じ、これが発現していることを明らかにした。このような遺伝子再編成メカニズムによる活性化が見出されたのは初めてのことである。さらに、SigH活性化細胞から生じるSigH消失株(復帰株)では、sigH遺伝子領域が元に戻っていることを明らかにした。すなわち、sigH領域の再編成は一過的に生じるものであらた。このことは、本遺伝子の例外的に速い進化速度の理由であることが推察された。 2. 本菌の形質転換(コンピテンス)にはファージ成分が必要であることが過去に報告されていたが、SigHが誘導するcomシステムとの関連はこれまで不明であった。本研究において、ファージ依存的なコンピテンスは、comシステムを必要とせず、全く別のものであることを遺伝学的に証明した。comシステムがDNA取り込み装置として働くかどうかに関しては繰り返し検証したが、現在のをころその活性を検出するには至っていない。comシステムは分泌装置蛋白質とも相同性を示すことから、今後はDNA取り込みとは異なる機能も考える必要がある。 3. 遺伝子重複メカニズム以外のメカニズムによっても、ある特殊環境でSigHが偶発的に活性化されることを見出した。さらに、この活性化にはagrクオラムセンシング系が関与することを明らかにしたが、これは必須ではなく、近縁種でのcom誘導システムとは全く異なる制御システムの存在が示唆された。
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Research Products
(9 results)