2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18790303
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
垣内 力 東京大学, 大学院薬学系研究科, 助手 (60420238)
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Keywords | リン酸ジエステル結合 / ホスホジェステラーゼ / CvfA / CvfB / SarZ / poly(U)結合 / 滑走能力 / agr |
Research Abstract |
黄色ブドウ球菌のゲノム上に見出される細菌間で保存された機能未知遺伝子である489遺伝子のうち100遺伝子について、カイコにおける病原性を検討した。その結果、新たにsarZ遺伝子が黄色ブドウ球菌の病原性に必要である事を見出した。すでに同定済みであった3遺伝子と新たに同定したsarZ遺伝子について、遺伝学的、生化学的解析を進めた。cvfA遺伝子産物についてはリン酸ジエステル結合を分解するホスホジエステラーゼ活性を有する事が明らかとなった。CvfAは何らかの生体内分子のリン酸ジエステル結合を分解する事で病原性因子発現のシグナルカスケードを活性化させると考えられる。cvfBの遺伝学的解析から、cvfBは黄色ブドウ球菌の病原性制御因子であるagr遺伝子座の上位で働く事が明らかとなった。また、リコンビナントCvfBタンパク質はpoly(U)結合活性を有する事が明らかとなった。CvfBはRNAに結合する事で、病原性遺伝子の転写、または翻訳に影響を与えると考えられる。SarZは大腸菌の転写因子であるMarRと相同性を示した。SarZはDNA結合活性を持ち、このDNA結合活性は黄色ブドウ球菌の毒素産生に必要である事が見出された。これらの遺伝子の機能解析を進める過程で、黄色ブドウ球菌が軟寒天培地上を広がる能力を持つ事を見出した。CvfA遺伝子欠損株はこの運動能力を低下する。この黄色ブドウ球菌の滑走能力は、黄色ブドウ球菌の病原性発現を説明する新たな機構であることが期待される。
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Research Products
(4 results)