2006 Fiscal Year Annual Research Report
緑膿菌由来毒力因子による細胞外ドメインのシェディング誘導機構の解明とその臨床応用
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18790305
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平岡 義範 京都大学, 医学研究科, 助手 (60397552)
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Keywords | 病原性 / 細菌性毒力因子 / シェディング |
Research Abstract |
膜近傍部でのタンパク質分解により、膜タンパク質の細胞外ドメインが不可逆的に切断される現象を、細胞外ドメインシェディングという。細胞外ドメインシェディングは、定常状態の細胞においても少しずつ生じているが、細胞の活性化に伴い劇的に誘導される。メタロプロテアーゼ、中でもTNF-α converting enzyme(TACE)などADAMファミリーに属する酵素群が、シェディングを司る主な切断酵素であることが知られているが、その活性化機構はよくわかっていない。我々は、メタロプロテアーゼのM16ファミリーに属するnardilysin(NRDc)が、EGFファミリーに属するヘパリン結合性EGF様増殖因子(HB-EGF)の結合タンパク質であることを明らかにした(Nishi他EMBO J.,2001)。HB-EGFは膜結合型の前駆体として生成され、細胞外ドメインシェディングを受けて分泌型となるが、このシェディングが、HB-EGFの生体内における機能を厳密に制御していることが明らかになってきている。NRDcのHB-EGF膜結合型前駆体への生理作用を検討する過程で、我々は1)NRDcがHB-EGFのシェディングを正に調節していること、2)NRDcはTACEと複合体を形成し、TACE活性の増強を介してシェディングを増強すること、3)シェディング誘導因子(ホルボールエステルなど)がNRDcとTACEの複合体形成を促進すること、4)NRDcの発現を抑制すると、HB-EGFのシェディングも抑制されること、を明らかにした。本研究は、これまで全くわかっていなかったTACE、そして膜タンパク質の細胞外ドメインシェディングの活性化機構の一端を明らかにした。
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