2006 Fiscal Year Annual Research Report
フラジリス菌の表層抗原性を制御する部位特異的組換え酵素の同定および発現解析
Project/Area Number |
18790309
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中山 治之 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (80294669)
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Keywords | Bacteroides fragilis / 表層抗原性 / 部位特異的組換え酵素 / DNA逆位 / 莢膜 |
Research Abstract |
1.Class IV領域(inverted repeat配列内部にTACTTANTAGGTAANAGAAのモチーフを含む領域)のDNA逆位を制御するsite-specific recombinase遺伝子の同定および破壊株の作製 Bacteroides fragilis YCH46株のゲノム上にはClass IV領域が2箇所(IV-1およびIV-2領域)存在する。IV-1領域はtyrosine recombinase遺伝子(BF2766)のすぐ下流に位置しており、本遺伝子の内部領域を欠失させた破壊株ではClass IV領域のDNA逆位が消失したことから、BF2766がClass IV領域のDNA逆位に関与することが明らかになった。 2.Class IV領域のDNA逆位によって制御される菌体表層構造の解析 Class IV領域下流の遺伝子群の発現が2領域ともにONに固定されたBF2766の欠失破壊株(IV-1/IV-L2=ON/0N)では、菌体表層に多数の外膜vesicle (OMVs)が確認された。しかしながら、IV-1/IV-2=OFF/0N、OFF/OFF、ON/OFFに固定された欠失破壊株ではOMVsの形成量は野生株と差を認めなかった。以上より、Class IV領域間の遺伝子発現調節ネットワークが本菌種におけるOMVs形成の制御に関与していることが示唆された。 3.Class IV領域が腸管内への定着に果たす役割 Class IV領域の各種ON-OFF phenotypeが腸管内への定着にどのように関与しているのかを推測するために、野生株と4種類のBF2766欠失破壊株を用い、無菌マウス腸管への競合定着試験を行った。その結果、OMVsの形成が顕著なON/0N変異株は極めて腸管への定着が悪かったが、その他のOFF/0N変異株、OFF/0FF変異株あるいはON/0FF変異株の定着率は野生株と差を認めなかった。
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