2006 Fiscal Year Annual Research Report
内因性抗菌ペプチドによる敗血症性メディエーターの産生制御
Project/Area Number |
18790313
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
村上 泰介 順天堂大学, 医学部, 助手 (40384135)
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Keywords | 抗菌ペプチド / アナンダミド / Lipopolysaccharide / 自然免疫 / エンドトキシンショック |
Research Abstract |
1、目的 真核細胞は、生体を微生物感染から守るために種々の殺菌ペブチドを発現している。我々は、cathelicidinファミリーに属するCAP11がCD14陽性細胞に対するLPSの結合を抑制することで、エンドトキシンショックに防御的に働くことを明らかにしている。一方、内因性力ンナピノイドであるアナンダミドはLPS刺激によりマクロファージ系細胞より産生され、エンドトキシンショックの患者では高値を示す。また、カプサイシン受容体TRPV1に作用し、血圧低下を誘導することでエンドトキシンショックの病態に関与することが示唆されている。そこで本研究では、LPS刺激によるマクロファージ系細胞からのアナンダミド産生に、CAP11がどのような影響を及ぼすかについて検討した。 2、方法 RAW264.7細胞をCAP11存在下、非存在下でLPS刺激した後、Bligh&Dyer法により総脂質を抽出し、DBD-COCL標識した後、HPLCによってアナンダミドを定量した。また、細胞膜CD14とLPSの結合に及ぼすCAP11の作用をflow cytometryで解析した。また、アナンダミド合成酵素、分解酵素の活性を測定した。 3、結果・考察 LPSの刺激によるRAW264.7細胞からのアナンダミド生成に対して、1μg/mlのCAP11はアナンダミド生成を有意に抑制した。さらに、LPS結合に対してもCAP11は1ug/mlでLPSの結合をほぼ完全に抑制した。LPS刺激により合成酵素活性は上昇し、CAP11はそれを抑制した。一方、CAP11並びにLPSはFAAH活性に影響しなかった。以上の結果から、CAP11のエンドトキシンショックに対する防御作用の機序の一つとして、アナンダミドの生成抑制が関与することが示唆された。
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