2006 Fiscal Year Annual Research Report
レジオネラの新規接着因子LaiAとそのパラログ分子が肺炎発症に果たす役割の研究
Project/Area Number |
18790316
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
常 彬 国立感染症研究所, 細菌第一部, 主任研究官 (50370961)
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Keywords | レジオネラ / 細胞内寄生菌 / 接着分子 / 伝播期 / エフェクター分子 |
Research Abstract |
Legionella pneumophilaはレジオネラ肺炎を引き起こす細胞内寄生菌である。本菌は経気道感染後、ヒト肺胞マクロファージ内で増殖すること、上皮系細胞へ付着・侵入して細胞内増殖することが、病原性を発揮するのに最も重要な性質として挙げられる。本研究ではこれまでL.pneumophilaの宿主細胞への侵入に関わる分子LaiA (L.pneumophila adhesion molecule homology to integrin analog of Saccharomyces cerevisiae)およびそのパラログの役割および機能分担の可能性を検索することにより、これらの分子のレジオネラの感染機構及び病態形成への関与についての研究を進めてきた。 1.L.pneumophilaは、宿主細胞への感染サイクル中に表現型が変化し、増殖型と伝播型という二相性を示す。感染過程の各段階に必須な分子は二相性により特異的な発現が見られている。そこでこの二相性の表現型でのLaiAの変化の有無について調べた。その結果、LaiAは増殖期より、伝播期での大量発現が見られた。この分子が、宿主細胞への感染に関与していることが改めて証明された。 2.LaiAはL.pneumophilaの染色体上に5つのパラログが存在することが報告された(Science 305:1966-1968,2004)。LaiAを含む3つのパラログは染色体上の1ケ所の約20kbの領域に存在している。我々はこの20kbの領域に薬剤耐性カセットを挿入するにより変異株を作成し、宿主細胞への感染における役割を調べた。その結果、変異株は細胞内での増殖ができなくなった。この領域はレジオネラ感染の感染過程のどの段階で、どの機能を分担しているかについてさらに詳しく調べる予定である。 3.In vitroで培養したL.pneumophilaを抗LaiA抗体で免疫染色を行い、LaiA分子の菌における局在部位を検討した。しかし、LaiA分子の局在部位が明らかにされなかった。この結果からLaiA分子は宿主細胞へ感染した後に分泌されるものである可能性が高いと考えられた。そのため、培養細胞を用いた感染実験においてL.pneumophilaと宿主細胞におけるLaiAの局在部位を調べる予定である。
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