2008 Fiscal Year Annual Research Report
レジオネラの新規接着因子LaiAとそのパラログ分子が肺炎発症に果たす役割の研究
Project/Area Number |
18790316
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
常 彬 National Institute of Infectious Diseases, 細菌第一部, 主任研究官 (50370961)
|
Keywords | Legionella pneumophila / 細胞内寄生菌 / 生体防御機構 / サイトカイン |
Research Abstract |
Legionella pneumophilaはレジオネラ肺炎を引き起こす細胞内寄生菌である。本菌は経気道感染後、ヒト肺胞マクロファージや上皮系細胞内で増殖できることが、病原性を発揮するのに最も重要な性質として挙げられる。したがって、病原性の解明には、感染を受けた宿主細胞の免疫防御システムの誘導・発現機構とL. pneumophilaとのお互いの攻防を解明することが重要だと考えられる。 本研究ではこれまでヒト肺胞上皮細胞を主に用いて、L. pneumophilaの宿主細胞への侵入メカニズム、本菌の感染を受けた宿主細胞の免疫応答機構および細胞内シグナル伝達に関与する宿主細胞側の分子を解明することにより、肺胞上皮細胞がレジオネラ感染の病態形成と感染防御に果たす役割についての研究を進めてきた。 1.L. pneumophila感染における肺胞上皮細胞のサイトカインの発現・分泌について調べた結果、肺胞上皮細胞はIL-6、IL-8、TNF-α、MCP-1などサイトカインのmRNA発現とタンパク分泌が見られた。さらに、IL-6とTNF-αのmRNA発現とタンパク分泌はL. pneumophila細胞内菌数と正の相関があることを明らかにした。これらの結果から、肺胞上皮細胞内シングナル伝達経路がL. pneumophila感染によって活性化されることを示唆されたため、我々は干渉small interfering RNA (siRNA)を用いて肺胞上皮細胞の細胞内シグナル伝達に関する分子を調べた。細胞内シグナル伝達に関する分子NOD1 (Nucleotide-binding oligomerization domain containing 1)およびNOD2のsiRNAによるノックダウンを行った細胞には、L. pneumophila感染によるIL-6とTNF-αのmRNA発現量の減少が見られた。 2.L. pneumophilaはactin-dependent経路にて肺胞上皮細胞へ侵入し、その侵入過程にはRac1とCdc42が関与することを明らかにした。L. pneumophilaを認識する宿主細胞の分子を解明するために、Toll-like recentors (TLR)の抗体を用いて阻害実験を行った。TLRsの抗体により肺胞上皮細胞表面に発現されるTLR2およびTLR4分子を中和した後、L. pneumophilaの宿主細胞への侵入率を調べた。侵入率の低下が見られなかったため、TLR2およびTLR4はL. pneumophilaの肺胞上皮細胞への侵入に関与しないことを明らかにした。
|
Research Products
(4 results)