2006 Fiscal Year Annual Research Report
バキュロウイルスの哺乳動物細胞における自然免疫誘導機構の解析
Project/Area Number |
18790322
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿部 隆之 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (90403203)
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Keywords | ワクチン / TLR / バキュロウイルス |
Research Abstract |
バキュロウイルスの哺乳動物細胞内での自然免疫誘導機構を解析するにあたり、今年度は、主としてインターフェロン(IFN)誘導に関する遺伝子群を欠損したマウスを用いた検討を行った。IFNの誘導に必須の転写因子であるIRF3及びIRF7遺伝子欠損マウスから、腹腔マクロファージ細胞(PEC)及びCD11c陽性樹状細胞(DCs)を回収し、バキュロウイルス感染後の培養上清中のIFNの産生量をELISA法にて測定した。その結果、バキュロウイルスによる免疫細胞からのIFNの産生はIRF3には部分的に、また、IRF7に完全に依存していた事が明らかとなった。さらに、バキュロウイルスによるIFNの初期誘導における機構を解析するために、近年同定されたRNAウイルス認識センサーであるRIG-I及び、そのシグナルアダプター分子であるIPS-1の遺伝子を欠損したマウスを用いた解析を行った。その結果、RNAウイルスである水泡口内炎ウイルス(VSV)の感染によるIFN産生は、RIG-I及びIPS-1遺伝子に依存的であったが、バキュロウイルスに対しては非依存的である事が明らかにされた。これらの事から、DNAウイルスであるバキュロウイルスは、これまでに明らかにされているRNA認識機構とは異なる機構によって感知され、下流のIRFを介してIFNを産生している可能性が示唆された。次に、宿主側のIFN誘導機構とは別に、ウイルス側におけるIFN誘導に対する主要因子を検討した。我々はこれまでに、バキュロウイルスによる自然免疫誘導には、病原微生物由来の非メチル化CpGモチーフ配列を有するDNA成分を認識するTLR9が重要である事を明らかにしている。そこで、精製バキュロウイルスからウイルスDNAを回収し、IFNの産生誘導を検討した。その結果、バキュロウイルス由来のウイルスDNAを反応させたPEC及びDCsからIFNが強く誘導され、また、そのIFN誘導はTLR9に強く依存していた。これまでに、ウイルス粒子を反応させた場合、IFNの誘導はTLR9非依存的であった事から、ウイルスDNA成分以外のウイルス構成物によるTLR非依存的なIFNの誘導機構の可能性が提示された。
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[Journal Article] Critical role of PA28 γ in hepatitis C virus-associated steatogenesis and hepatocarcinogenesis2007
Author(s)
K.Moriishi, R.Mochizuki, K.Moriya, H.Miyamoto, Y.Mori, T.Abe, S.Murata, K.Tanaka, T.Miyamura, T.Suzuki, K.Koike, Y.Matsuura
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Journal Title
Proc. Natl. Acad. Sci. USA vol.104 no.5
Pages: 1661-1666
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