2006 Fiscal Year Annual Research Report
レトロウイルスのインテグレーションに関与する宿主因子の解析
Project/Area Number |
18790326
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
有海 康雄 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (60303913)
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Keywords | レトロウイルス / インテグレーション / 宿主因子 / クロマチン / ゲノム / Tat / INI1 / 転写制御 |
Research Abstract |
レトロウイルスゲノムの宿主ゲノムへのインテグレーションは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)の複製においても必要不可欠である。このステップにはウイルスのインテグレースが必要不可欠である。これまで酵母two-hybrid法によりインテグレースに結合する宿主因子として、Integrase Interactor 1(INI1)が同定されているが、そのウイルス複製における役割はあまりよく解明されていない。そこで、本研究においてこの問題について取り組み、レトロウイルスのインテグレーションに関与する宿主因子の機能解析を行った。 INI1 shRNAを恒常的に発現するレンチウイルスベクターを用いて、INI1をノックダウンさせたCD4陽性ヒト細胞を樹立し、HIV-1を感染させるとHIV-1産生能はコントロールに比べ減少した。 INI1はHIV-1の複製に必要な宿主因子であることが証明された。次に、GFPマーカーを発現するHIVベクターを導入し、導入効率をコントロール細胞とFACSにより、比較した。その結果、INI1が効率よくノックダウンされたので、INI1はHIV-1のインテグレーションには不必要であることが判明した。 一方、INI1はクロマチンリモデリング因子としても知られているので、HIV-1の転写制御に関与するのか検討した。興味深いことにINI1はHIV-1 Tatの転写活性化能を増強させた。さらに免疫沈降実験により、INI1とTatが結合することが明らかとなった。少なくともTatの転写機能の増強には、INI1のクロマチンリモデリング因子複合体形成に必要な2つのリピートモチーフRpt1とRpt2が必要であることが変異体を用いた解析により、判明した。この結果から、INI1は単独でTat転写機能を増強しているのではく、クロマチンリモデリング因子複合体を形成し、HIV-1の転写制御を増強していることが示唆された。HIV-1は転写が盛んな宿主ゲノム部位に好んでインテグレーションされる傾向があるので、インテグレーションされる部位を決定する宿主因子として、INI1が関与している可能性も考えられ、今後の検討課題である。
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Research Products
(2 results)