2006 Fiscal Year Annual Research Report
アイチウイルスの複製に関与するウイルスタンパク質および宿主タンパク質の機能解析
Project/Area Number |
18790328
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
佐々木 潤 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (70319268)
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Keywords | ピコルナウイルス / ゲノム複製 |
Research Abstract |
アイチウイルス(AiV)は胃腸炎関連のピコルナウイルスである。我々は、AiV複製の全体像を分子生物学的に明らかにすることを目指した研究を行なっている。本課題は、複製複合体形成にかかわるタンパク質や複合体中でのタンパク質の役割の解明を目的とする。今年度は非構造タンパク質の一つ、Lタンパク質の機能解析を行った。キャプシドコード領域をルシフェラーゼ遺伝子と置換したレプリコン(LLucP2P3)の様々な部位にEMCVのIRESを導入して、LLuc-emcvIRES-P2P3とLuc-emcvIRES-LP2P3、LLuc2A-emcvIRES-2BCP3とLuc2A-emcvIRES-L2BCP3、LLucP2-emcvIRES-P3とLucP2-emcvIRES-LP3の6種類のジシストロニックRNAを作成し、培養細胞と無細胞複製系での複製能を調べた。その結果、無細胞複製系では全てのジシストロニックRNAが複製したが、培養細胞では、Luc-emcvIRES-LP2P3とLuc2A-emcvIRES-L2BCP3のみが複製した。感染細胞でゲノムRNAが複製するには、ゲノムRNAから翻訳されたウイルスタンパク質がそのRNA自身の複製のためにシスに供給されなければならないが、無細胞反応液にはウイルスRNAを過剰に加えるため、ウイルスタンパク質が高濃度に存在し、トランスに供給されたタンパク質でもウイルスRNAの複製をサポートできる。従って上記の結果は、AiVRNAが培養細胞で複製するためには、Lタンパク質を含むLP2P3やL2BCP3のような長い前駆体が必要で、そのような前駆体が複製複合体形成のために効率良くシスに利用されるようにLタンパク質が働いていること、Lタンパク質は複合体が形成された後は前駆体から切り離され、RNA合成自体には必要ではないことを示唆しているものと考えられた。
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