2006 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子IRF-3による抗原特異的メモリーT細胞維持の分子機構
Project/Area Number |
18790332
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
佐藤 卓 秋田大学, 医学部, 助手 (40375259)
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Keywords | 免疫学 / 細胞・組織 / 生体分子 / ウイルス / シグナル伝達 |
Research Abstract |
平成18年度の研究では、IRF-3^<-/->マウスの環境における長期生存型メモリーCD8T細胞の生成不全が、メモリー前駆細胞(下記)の誘導、あるいはメモリーCD8T細胞の維持のいずれの過程における異常によるものかについて検討した。具体的には、CD45.1コンジェニックマーカーを発現するナイーブOT-I細胞を野生型(WT)あるいは、IRF-3^<-/->ウス(1次レシピエント)に移入後、VV-OVAを接種する方法を用いた。ウイルス接種4日後に、移入したナイーブOT-I細胞は劇的に増殖しエフェクターT細胞(CTL)へと分化するが、これまでの報告から、その中の一部の細胞は長期生存型メモリー細胞へと分化するポテンシャルを持つメモリー前駆細胞であることが知られている。そこで、各々の1次レシピエントマウスにおいて誘導したエフェクターOT-I細胞がメモリー前駆細胞を含むかどうかを、ナイーブWTマウス(2次レシピエント)への養子移入実験において検討したところ、いずれのマウスにおいて誘導されたエフェクターOT-I細胞からも、確かに長期生存型メモリー細胞が分化していた。 一方、メモリーCD8T細胞の維持過程にIRF3を発現する環境が必要であるかについては、WTマウスにおいて機能的に正常なメモリーOT-I細胞を誘導し(ウイルス接種後60日以上経過)、このメモリーOT-I細胞を含む脾細胞分画をCFSE標識後、WTマウス、あるいはIRF-3^<-/->マウス(2次レシピエント)に養子移入する方法で検討した。移入40日後、野生型マウスに移入したメモリーOT-I細胞では、数回の細胞分裂を確認したが、IRF-3^<-/->マウスでは移入メモリーOT-I細胞そのものが全く検出されなかった。以上の結果から、長期生存型メモリーCD8T細胞の生成において、メモリー細胞の維持過程にIRF3を発現する環境が必要であることが示された。
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Research Products
(4 results)