2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18790337
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
COBAN Caveyir Osaka University, 微生物病研究所, 特任助教 (00397712)
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Keywords | 自然免疫 / TLR / マラリア |
Research Abstract |
この研究は今まで明らかにされていないマラリアに対する宿主の自然免疫反応や原虫による免疫逃避反応を明らかにする目的で行っている。今年度の成果としてToll様受容体もしくはそのシグナル伝達経路が実際のマラリア感染においてどのような生理的意義を有するのか原虫、宿主両方の視点から動物モデルを用いて検証した結果を報告する。 <マラリア感染における自然免疫受容体Tollの役割> 我々は熱帯熱マラリア原虫のへム代謝産物であるヘモゾインがToll様受容体9(TLR9)を介して樹状細胞などの免疫細胞を活性化することを見出していた(J Exp Med.2005 201 (1) :19-25.)。これらの知見を基に各種Toll様受容体もしくはそのシグナル分子欠損マウスを用いマウスマラリア感染における宿主側の自然免疫反応(サイトカイン等)、原虫血症、生存率そしてP. berghei感染においては脳マラリアの発症率を解析した。その結果TLR3,4のシグナル伝達分子であるTRIF欠損マウスでは野生型と変わらぬ脳マラリアの発症と死亡率であったが、MyD88欠損マウスでは脳マラリアの発症と死亡率が有意に改善された。これらのマウスの原虫血症は変化がなかったが、感染マウスの脳内のヘモゾイン沈着を観察したところ野生型に比べMyD88欠損マウスで有意に減少していた。脳内の血管損傷、CD8陽性T細胞を含む免疫細胞の集積もMyD88依存性であった。さらに各種TLR欠損マウスで同様の実験を行った結果TLR2、TLR9の欠損マウスの脳マラリアの発症率、死亡率が優位に低下していた。以上の結果からTLR2, TLR9を介してマラリア原虫成分のGPIやヘモゾインが自然免疫を賦活化し、脳マラリアに見られるようなマラリア感染病態に関与していることが示唆された。この結果はInternational Immunology (2007)に掲載され、マラリア感染におけるToll様受容体などを介した自然免疫反応が感染時の防御免疫のみならず病態にも関与していることを総説した論文がTrends in Microbiology (2007)に掲載された。
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Research Products
(9 results)