2006 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオミクスによる遺伝性自己免疫疾患の原因タンパク質の機能解析
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18790340
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
押川 清孝 徳島大学, 分子酵母学研究センター, COE研究員 (50380051)
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Keywords | 自己免疫疾患 / AIRE / 胸腺上皮細胞 / MHC / プロテオミクス |
Research Abstract |
胸腺上皮細胞によって提示される自己抗原には、1)class Iに提示される細胞内の内在性自己抗原と、2)循環血流に乗って胸腺に入り、胸腺上皮細胞によって細胞内に取り込まれた後、ペプチドへのプロセッシングを経てclass IIと結合した形で細胞表面に提示される自己抗原の2種類が存在する。本研究では、AIRE欠損(あるいは変異)にともなう胸腺上皮細胞上に提示される自己抗原の質的な変化をclass I、class II経路の両者について検討する。すなわち、class II経路については、野生型および疾患変異体(E3 ligase欠損変異)のAIRE遺伝子を導入した胸腺上皮細胞株からclass II結合ペプチドを溶出し、プロテオミクスの手法を用いて、そのプロファイリングを作成・比較し、AIREによる自己抗原ペプチド創出機構の存在を明らかにすべく、細胞の大量培養と抗class II抗体を用いた免疫沈降実験を開始している。他方、class I経路を介した内在性自己抗原の表出に対するAIREの効果については、WT1(Wilms' tumor)を自己抗原として細胞表面に表出するヒト肺癌細胞株(LK79:HLA-A24陽性)を用いるべく、準備を進めている。すなわち、野生型および疾患変異体AIREを発現するLK79細胞株を樹立し、AIRE依存的な細胞表面でのWT1発現状態をHLA-A24拘束性WT1特異的CD8陽性T細胞株への反応性によって評価する。さらに、これらの細胞株について、AIREに依存した自己抗原表出変化のメカニズムを細胞膜分画の2次元電気泳動(differential analysis)によって明らかにすべく、泳動条件の検討を開始している。 以上の研究の進展により、AIRE依存性に胸腺上皮細胞上で変動する蛋白が同定できれば、自己免疫疾患発症機構の解明に有力な手がかりとなるのみならず、自己寛容の成立機構の本態に迫ることができる。
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Research Products
(2 results)